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「日々感謝」1200kmのへんろ道#4【12番 焼山寺】

お 遍 路

2020.10.23(金)
天気:雨 ☔︎→曇り ☁︎時々晴れ ☀︎
気温:神山町20/12℃

歩き人たかちです。

お遍路4日目。昨日の雨は結局ポツポツで終わり、雨とともに延期になった焼山寺。自然なんてそんなものと受け入れ、11番藤井寺をゆっくり歩きました。

今日は11番藤井寺から焼山寺まで12.9km、悩んだ末に予約した「神山温泉ホテル四季の里」まで約24km。

雨の音を聴きながら、神聖な空気が漂う山の中へ・・・

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へんろころがし「12番焼山寺」

はじめに、へんろ道の難所のひとつとされる焼山寺への道のりについて。必要な方は参考にしてみてください。

標 高 差

 

*図の杖杉庵を下った先の峠〜鏡石大師は「玉ヶ峠ルート」の場合。神山町ルートはロードを下り続けます。

藤井寺の標高は約40m。焼山寺は706m。アップダウンを繰り返しながら焼山寺を目指します。大体の標高差で計算すると以下の通り。

①藤井寺-600mピーク:560m登る
②ピーク-柳水庵:100m下る
③柳水庵-浄蓮庵:250m登る
④浄蓮庵-左右内集落:350m下る
⑤左右内集落-焼山寺:300m登る
⑥焼山寺-神山町:570m下る

▲ 累積標高差:登り約1110m
                      下り約1030m

※⑥は県道43号までが山道。そこからは緩やかな車道を7kmほどで神山温泉。

登り、下りともに1100m前後。標高差は日帰り登山を少しハードにした感じ。アップダウンなので登り続けるよりも体力と精神力を使い、修行感があります。

ど ん な 道 ?

綺麗に整備されているところがほとんどなので、全体的にとても歩きやすい道です。標高差は1,000mを超えますが、長い距離をかけて登っていくので急坂も限られています。

[  傾斜が少しきつめの区間  ]

① 浄蓮庵への登り
② 焼山寺への登り
③ 藤井寺-長戸庵

同じ勾配で登っていく地形、緩急のある地形など様々。距離に関しても①は900 m、②は2,500mと大きく異なります。

個人的には①浄蓮庵への登りが一番急坂だと感じました。②焼山寺の登りは、最後だと思うと感慨深く楽しめました。③藤井寺〜長戸庵は、はじめの階段を越えれば「緩やかに登って平坦」を繰り返す道になります。

道幅は狭かったり、広かったり。苔や岩がところどころあるので、雨だと非常に滑りやすくなります。特に、柳水庵への下り、浄蓮庵からの下り、焼山寺への登りは雨だとツルッツルッ。

山道だと一番感じる箇所は、最後の焼山寺への登り。へんろ道の峠越えは全体的に階段か林道のように歩きやすい場所が多いですが、ここは岩や木の根などが続く1km。山を感じられるので、個人的にはとても好きでした。

時 間

歩くスピード、山歩きの経験は人それぞれなので一概には言えませんが、藤井寺〜焼山寺までの平均は6時間〜6時間30分程度とのこと。

4時間の人もいれば5時間の人もいるし、8時間以上かかったという人もいる。こればかりは、山の経験、体力、天候、荷物の重さなどが関係するので、人のタイムはあまり参考にしない方がいいです。体力を考慮して平均タイムから±1時間、荷物の重さで±1時間、休憩時間はどこでどのくらい…と、ゆとりある計画で。

山を登山地図のコースタイムで歩くと、1時間に約300〜400m登ります。傾斜にもよりますが、時間だと1kmで約30分。

焼山寺まで12.3kmなので、6時間〜6時間30分の計算になります。心配であれば急坂の部分は1km40分で考えたり、できる限り距離を短くして計画を立てるといいと思います。

焼山寺を下山した最初の集落は"鍋岩"。一番短い距離で設定すると、この集落の宿になります。野宿場所もありました(本文中で紹介)。ただ、鍋岩では廃業が相次いでおり、営業しているか要事前確認。

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暗い森と雨と長戸庵

*11番藤井-長戸庵:3.2km*

6:30、宿のご夫婦に見送られながら出発。昨日は早くから宿で休ませていただいたので、納め札をお渡し。「結願祈ってここに張っておくからね!」と、みなさんの納め札に仲間入り。

納め札はお寺に奉納するだけでなく、お接待していただいたとき、感謝の気持ちを込めてお渡しするものでもあります。しかし、実際にお渡しするのは結構難しい。お菓子とかみかんとか、さっと渡して「頑張ってね!」とさっと去る方も多いので、なかなか渡すタイミングが掴めません。宿だと綺麗に貼られていることが多く、渡しやすいのですが。

また、一つ思うことは"自分の納め札を渡されて困らないか"ということ。もちろん文化なので断られることはないですが、実際どうなのかなと。しっかり整理されている方もいるとお聞きしましたが、お渡しするのに躊躇うことが多かったです。

応援の気持ちでお接待をしてくださる方も多いので、その時の状況で判断すればいいかなと。渡す渡さないよりも、やはり感謝の言葉をしっかり伝えてしっかり歩くことが一番大事だと思いました。

私には山のゴミを拾うことくらいしか恩返しができませんでしたが、人のために、地域のために、自然のために「何かできることはないかということは、常に考えるようになります。

ちなみに、日付以外を記入したものを何枚か余分に持っておくと、さっと差し出せます。

雨は3〜4mm、予報通り結構降っています。レインウェアは暑いし嫌いなので、傘をさして登りました。お遍路さん自体少ないし、道がとても整備されているので。

藤井寺に再訪し、昨日の道を辿ります。昨日の夜からの雨で、沢の水量がかなり増えていました。

ミニ88ヶ所の51番まで来て、ここから未知の世界。まずは3.2km先の"長戸庵"を目指します。足元はビチャビチャ。歩いている人は自分だけ。雨に音が吸収されて静かすぎるへんろ道。

へんろ道で一番の難所とされていますが、難所に到達するのが早いですね。宿の方曰く、焼山寺を経て荷物を見直す人、嫌になって帰ってしまう人など様々だそうです。

初めは階段多めの山道を一気に上がっていきます。へんろころがし番号あり。

一旦車道に出ると休憩用の椅子が並んでいました。

そしてまた山の中へ。緩やかな登り→平坦、緩やかな登り→平坦・・・これを繰り返します。

 

それにしても、何の音もしない暗い森。雨が強いので鳥の声すらせず、ただただ森に雨音が響く。

幻想的であり不気味。晴れていたら明るくて気持ちのいい道だと思いますが。普段山歩きをするので「静かでいいなあ〜」くらいの気持ちですが、後にお会いするお遍路さんは「一人で山を歩いていると怖い」と仰っていました。

 

「水大師」の水場に到着、飲用可。ボトルの中身を水道水から山水へ。冷たくて生き返るー。山に登るときは、できる限りその山の水を体内に巡らせます。内側から山を知る気分で。

ちなみに、この先にもう一つ同じような水場がありました。

岩はツルツル。

 

 

山の中にはへんろ道案内の札がたくさんかかっていました。

山の中は歩くことに集中できてよい。国道や県道は車が多くて落ち着きません。空気もいいし、平坦なところも多いので息を整えやすくとても歩きやすいです。

1時間程歩くと"長戸庵"に着きました。雨で休む場所がなかなかない。長戸庵の前に「端山休憩所」という東屋がありましたが、今日は屋根があってもびしょ濡れです(景色は良いらしい)。

※長戸庵の簡易トイレは女性専用で、男性は柳水庵までありません(2020.10.23時点)。

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「柳水庵」を目指して

*長戸庵-柳水庵:3.4km*

ここからも同じような山道が続きます。

長戸庵から登り始めてすぐ、屋根付きベンチのある展望休憩所がありました。しかし、強い雨によりやはりびしょ濡れ。吉野川市の展望も、うーん白い。今日はどこもかしこも真っ白です。

8時頃には小雨になる予報でしたがそんな気配は全くなく、強めの雨が降り続く。

 

尾根道がいい感じ。

え、石鎚山のあの鎖があるの?

雨なのでスルーしましたが、少々荒れ気味の道を行くと神社があり、結構本格的な鎖場があるようです。迂回路もあるそうですが、そこも結構急だとか。石鎚山までは登れないけど鎖は試したいという方はぜひ。

古いへんろ道や石仏もたくさんあります。手形が可愛い。

 

苔、とてつもなく鮮やか。

600mピークを越えて「柳水庵」への案内が出てきました。

分岐は要注意。

 

 

細い道をゆるゆる下っていくと建物が。ここは、柳水庵の奥の院。

奥には祠、建物内には納札箱がありました。菓子パンが供えられています。野宿してもいいそうですが、とっても勇気がいる雰囲気。

奥の院前にへんろころがしの番号。「2/6」はどこだったかな?

写真ではよくわかりませんが、確かに急坂。足元は岩でツルツル。柳水庵への下りはとても滑りやすい。

 

柳水庵に到着。「休憩所は下です」みたいな案内板があったので、そのままそちらへ向かいます。

途中にはお手洗いがありました。古い小さな建物で、利用していないのでわかりませんが、多分使えるかと。

車道を下っていくと立派な小屋の休憩所。ここにも水場があります。

はじめからここを目的地として宿泊している方の記録もありますが「宿泊禁止」と張り紙があります。何年か前までは宿泊できたようですが、現在は何かトラブルがあった場合のみ。

何か問題があったのかな?良い小屋なので住み着いた人がいたとか?マナー違反が増えると、このような小屋も利用中止になってしまいます。

靴を脱ぐのが面倒なので、外のベンチで30分程休憩。9時になっても雨降りは続きます。

焼山寺まであと6.3km。ここで、半分です

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お大師さまと一本杉「浄蓮庵」

*柳水庵-浄蓮庵:2.2*

ここから次のピーク「浄蓮庵」(一本杉庵)に向かってまた登る。出発前は焼山寺が一番高いと思っていましたが、実は浄蓮庵が一番高く745m。車道に出るまで緩やかな道が続き、そこから急坂で一気に登ります。

車道までは1.3km。100mも上がらないのでとても緩やか。というか、ほぼ平坦。

分岐に注意。

遊び心のあるへんろ道案内。ここから急坂になります。

 

細っこい杉林。雨もやっと弱くなってきた。

地衣類好き。

 

朝のどんよりした灰色の空は薄くなり、森の中も明るくなりました。スーッと伸びた杉の木立に1人佇むのも、古道感があって結構好き。空海が歩いた1200年前はどのような森だったのか。紅葉樹がのびのび枝を広げていたかもしれない。

焼山寺は距離のことで頭の中がいっぱいになりがちですが、最後までそのままの自然が残ったへんろ道。身体いっぱいに自然を感じたもの勝ち。山も雨も全部楽しんだもの勝ち。

 

登山道のあちこちにサワガニがウロウロしていました。下を見て歩かないと、危うく踏んでしまいそうになるほど。

「がんばって」という応援の札もあります。急坂区間でしたが、とても良い道でした。

 

浄蓮庵に到着。

上を見てハッとしました。お大師さまに見守られながら登る階段。お大師さまに向かって歩くのは、後にも先にもここだけ。そして、後ろの木が異様に気になる・・・

立派な杉は、「左右内(そうち)の一本杉」。太くて、大きくて、枝振りがすごい。魔界に連れて行かれそうな雰囲気が漂っています。

霧と杉の相性が抜群。雨だからこその空気が漂っていました。この杉はどのくらい生きているのだろう。

幹もすごいですね、筋骨隆々。本当に見応えがあり、口が開いたまま歩みが止まりました。しばらくその場でじーっと見つめる。木に対しても「会いに来ました」という気分です。

雨の中ひたすら登ってきましたが、これはこれでいい。結局、森の中は雨でも楽しい。

*お手洗いは一本杉の左手奥にあります。

杉の木の奥に浄蓮庵がありました。

柳水庵、浄蓮庵の御朱印は焼山寺でいただくことができます。

焼山寺まで残り4.1km。再び下っていきます。

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空気が一変。12番「焼山寺」

*浄蓮庵-焼山:4.1km*

 

 

はじめは緩やかに下り、途中から「急坂注意」の看板がありました。

ツルツル岩トレイル。見るからに滑りますが、一回滑りました。

徳島は特にこんな岩が多かった気がします。

 

民家が見えたところで逆うちのお遍路さんとすれ違いました。焼山寺までの12kmの道のりでお会いしたのはこの方だけ。「ここからの登り返し、気を付けてね」と。

徒歩と車道の分かれ道。歩きへんろは左へ。

再び山の中に吸い込まれそうな雰囲気の橋。

 

ここから空気がガラリと変わりました。"あと2km"という心のゆとりや安心感も関係しているかもしれません。単純に「神聖」という言葉で済ませたくはありませんが、本当に神聖な感じがしました。しかし、先ほどの浄蓮庵とはまた違う。

歩き遍路は、そんな微妙な空気感を自然に感じとります。じわじわと近づき、長ければ長いほど神域へと踏み込む感覚が湧いてくる。山のアップダウンとももに自分の感情の起伏も感じる。これがいい。

学生時代、熊野古道の伊勢路と中辺路を歩き終えたあと「玉置神社」へバスで行きました。玉置神社は非常に神聖な場所とされていますが、やはりバスで行くと「ふんふん」という感じで。伊勢路とは区切られ、空気とか雰囲気を感じようと一生懸命になっていた。いつの日か、大峯奥駈道で玉置神社に辿り着きたい。そのときはたぶん、あのときの感情とは全く違うものになるはず。

遍路ころがし最後の「6/6」の看板。2,4,5は見逃したようです。どこにあったかな。

登り始めから1kmは、ここまでで一番山らしい道でした。岩や根っこのある土の道。

お遍路は基本的にロード歩きなので、山道は貴重。アスファルトの硬さは骨に響くので、土を踏むと安心します。そんなことからも、この焼山寺への道はすごくいい。

 

 

静かに、山と道に向き合います。昔はさらに荒れた厳しい道のりだったはず。山の中を歩いていると、先人たちの思いに触れている気がして好きです。

1200年以上歩き続けられている道。この道を今までに何人の人が踏みしめたのか。気の遠くなるような感覚に、歴史を感じずにはいられません。

雨により、岩の上はちょっとした川に。

 

こんなに励まされる山は、たぶんお遍路にしかない。

 

雨降りでヒキガエルもちょいちょい登場。

 

残り1km地点で広い林道にでました。歩きやすい道になり、まもなく参道が見えます。

どこもかしこもびしょ濡れで、ザックを下ろしたのは柳水庵の休憩所のみ。ひたすら歩き続けてきましたが、あと少しということにちょっとした寂しさもあったり。

 

本堂まで464 m。その前に、右手に気になるものが・・・

「鬼子母神」。大きな岩の中には・・・

!?

赤ちゃんめっちゃおる。

何人いるのこれ。

外にも出てきちゃってる。

にこーーー。菩薩のような笑顔ですね。

よっ!こちらは凛々しく指先ピーン。

[  鬼子母神  ]

鬼子母神には500人ものこどもがいましたが、こどもたちを育てるために人間のこどもをさらって食べていました。人間たちは恐れ苦しみ、お釈迦様に相談。お釈迦様は、鬼子母神が一番可愛がっていた末っ子の姿を隠しました。すると鬼子母神は気も狂わんばかりに探し回り、最後はお釈迦様に助けを求めました。お釈迦様は「500人の内1人がいなくなっただけでおまえはこんなにも嘆き悲しんでいる。数人しかいないこどもをさらわれた人間の気持ちが今わかるのではないか?」と話します。命の大切さ、こどもの可愛さは鬼も人間も一緒だと教えられ、鬼ではなく守り神となりました。

参照:ウィキペディアフリー百科事典

お遍路中、子どもを抱いている像は多くありましたが、ここまでウロウロしていたのはここだけ。お見事と拍手をしたくなりますね。

後で知りましたが、この岩のどこかに亀が隠れているようです。気が付かなかった・・・探してみてください。

参道にも、釈迦如来とか菩薩とかいろいろな像が並んでいます。本堂に着くまで見どころいっぱい。

 

 

 

 

 

12時前、ついに焼山寺到着。暑くもあるし、寒くもあるし、でも心は熱い。そんな雨の道のりでした。

別の歩き遍路の男性が「藤井寺の方から来ましたか?足元ドロドロだったでしょう。宿の人に今日はやめておいた方がいいって言われて、途中までタクシーで来ました」と。その男性は車や歩きを合わせてお遍路25回目とのこと。25回・・・

「100回以上回っているおばあさんもいるからね。自分だってできるはずと思って回っていたら25回目になってたよ。」と言って納経帳を見せてくださいましたが、中が真っ赤っか!

2回目以降は、はじめの納経帳を持参し判子のみ押してもらうそうです。そのため、何回も回っている方の納経帳はどんどん赤くなっていき、もはやただの赤いページ。驚き過ぎて写真を撮らせていただくのを忘れましたが、とにかくすごかったです。

[  12番 焼山寺  ]

本尊:虚空蔵菩薩
宗派:高野山真言宗
開基:役行者(815年)

88ヶ所の中では2番目に高所に建つ、修験道の祖である役行者が開基した山岳信仰の霊場です。この山一帯には毒蛇が棲みつき、大雨などの災いをもたらしていたとのこと。弘法大師が山に入ると魔法たちが全山火の海にして妨害、大師が水輪の印を結ぶと火は衰えていきました。岩屈から現れた大蛇を虚空蔵菩薩の力を借りて封じ込め、三面大黒天を安置したところ楽土となったと伝えられています。その岩屈は奥の院へ行く途中にあります。

参照:四国お遍路88ヶ所歴史読本
著者:株式会社エディスタ

 

立派な杉が並んでいます。

境内にはなぜかブランコ。

一休さんもこの通り。山の修行はやはり厳しいか。

本堂

 

大師堂

無事歩かせていただきありがとうございます・・・の一言ですね。

本堂と大師堂は横並び。というか、繋がっています。区別がつかないほど造りが似ている。

感慨深くお寺を眺めていると、腰の曲がったおばあちゃんと、おそらくその娘さんがガイドさんに急かされていました。個人ガイドのようですが「ロープウェイが16時までだから急いで!次行かないと!」と大きな声で。こんなところで急かされたらたまったものではないと思いました。

ツアーには時間があるので、お寺でゆっくりしているようには見えません。お寺の説明を受け、読経して、はい次!みたいな。お寺を感じる時間も空気もない。

回る手段は人それぞれだし、ツアーが悪いわけではない。でも、せめて椅子に座って一息つける行程にした方がいいのでは。お寺はどれも一緒に見えると思っていた自分が、ここまで"空気"を大事にするようになるとは思いませんでした。人それぞれ何かしら感じるものがあると思うので、それを大事にしたいなと。

山は気分がいい。

 

納経所の休憩スペースは広々。汗と雨でしっとり冷えた身体には、屋内で休めることがとてもありがたい。しばし休憩して下山へ。

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山道のおわりは「鍋岩集落」

*焼山寺-杖杉庵-鍋岩:3km*

今日はここからさらに10km先の「神山温泉ホテル四季の里」に泊まります。雨予報のためキャンプは中止。午後は晴れましたが、結構な雨なので芝生はビショビショでしょう。go toキャンペーンの恩恵を受けることにしました。

まずは杖杉庵まで1.8km。

13時を前に、予報よりも大分遅れて太陽が出てきました。木漏れ日が綺麗だ。雨上がりで森が生き生きしていて、瑞々しくて、苔も緑も鮮やか。とても美しい。

雨の中歩いた甲斐がありました。しかし、足元は相変わらずツルツルです。

空海ウォークも残りわずか。車道を横切り再び山道に入ります。雨によりお寺の雰囲気は完璧でしたが、やはり晴れると気持ちがいい。

 

 

山の斜面を勢いよく流れる水。昨日の夜からどれほど雨が降ったのかがよくわかります。この水が登山道にジャバジャバ流れていて、浅い小川状態。水は命の源。山のエキスがたっぷり。

杖杉庵の手前で車道に出ますが、このアスファルトがとても滑りやすかった。点々とある苔には要注意。落ちている杉の葉を滑り止めとして踏みしめながら下りました。

「杖杉庵」に到着。

ここには、四国霊場の元祖といわれる衛門三郎がようやく大師と出逢った姿の像があります。大師が優しく手を取る姿がすごくいいですね。(写真左側。近くで撮るの忘れた)

衛門三郎が使っていた杖を大師が墓標代わりに立てたところ、大きな杉に育ったと伝わり「杖杉庵」という名です。現在の杉は2代目だそう。

眺めの良い場所にはベンチがひとつ置かれ、素朴でほっとする場所でした。太陽の温もりに感謝。

 

最後の山道。スリップ注意の看板がありましたが、その直後に早速滑りました。油断大敵。岩の上に無心で足を置いてはいけない。

杉林をぐんぐん下る。

ラストのこの坂もなかなかに・・・

車道に合流して山道は終了。「鍋岩」へ向かいます。

 

時間が止まった屋外プール。

現在、鍋岩にある宿は「農園ゲストハウスもりあんloft」「ゲストハウスすだち庵」の2箇所のみのようです。以前はもう少し宿がありましたが、コロナもあり休業や廃業が相次いでいます。

焼山寺を越えて鍋岩で泊まる方も多いので、ここの宿がなくなると焼山寺はさらに厳しいへんろ道になるのでは。

私は神山町へのルートを選びましたが、もう一つ「玉ヶ峠」を越えていくルートもあります。この峠は急な上に宿は「植村旅館」の一軒しかありません。途中にある「玉ヶ峠庵」と、へんろ小屋「神山」は野宿NG。焼山寺のあとに続けて峠を越えるのは体力がいります。

歩いていると「おへんろ駅」がありました(Googleにも出ていました)。駐車場のような広い敷地の端に屋根付きの広い休憩所。中にはテーブルやイスが並んでいて、反対側には公衆トイレもあります。食料を持っていれば野宿できる環境ですね。

公衆トイレの前にはへんろ宿「すだち館」跡。ここは、2019年に閉業したとのこと。かつての写真を見ると飲み物や食べ物が販売され、おへんろさんの憩の場のようでした。おへんろ駅も賑わっていたのかな。取り残された珈琲の看板に哀愁が漂っています。

おへんろ駅の少し先に「ゲストハウスすだち庵」の案内看板。閉業した「すだち館」とは別の宿です。楽天トラベルやbooking.comにも出ていたのでネットでも予約できるようですが、本当に営業しているか不安な宿は電話で確認した方がいいです。

 

バスもあるので、焼山寺の下山が遅くなってしまったときの手段はこれ。

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最終ロード。神山温泉にまっしぐら

*神山温泉まで約7km*

最後はひたすらロードです。

日差しが暖かい…

「玉ヶ峠」「植村旅館」の看板。峠越えルートはここから。ちょっとだけ上がってみました。

このような細い道が続き、やがて急登になるようです。

 

バス乗り場がすごく簡易的。

時刻がわからないと思ったら置いてあった。読めるような、読めないような。

 

 

やがて神山町が見えました。

 

 

焼山寺から下山して最初のスーパー?コンビニ?

神山町で寄り道したかったお店があります。

「かま屋」。地産地消に取り組み、レストランやパンの製造・販売、その他さまざまな活動をされています。2017年にオープンしたようで、とても素敵な外観でした。

外の席も気持ち良さそう。

 

レストランとパンなどの販売は建物が分かれていました。レストランは平日11:00~16:00。ラストオーダーは15:00。かま屋に着いたのが15時ちょっと前。もっと早く到着していたらお昼を食べたかったのですが、温泉での夕食もあるのでやめておきました。

テイクアウトできるドリンクもレストランの方で注文とのこと。パン&ストアの方でカボチャのカレーパンだけ購入。

これが絶品でした。カボチャも美味しいし、カレーも美味しい。焼山寺下山後はぜひ。


かま屋

お店について | 食べる | Food Hub Project 神山 | 地産地食 Farm Local, Eat Local
育てる、つくる、食べる、つなぐ―地域で育てられたものを、その土地で料理し一緒に食べることで、地域での「関係性」を育て、農業と食文化を次の世代につないでいくことを目指し、2016年から徳島県神山町で活動しています。


 

移住者も多いという神山町。集合住宅みたいなものが建設されていました。

街並みもいいですね。小学生も元気でした。

温泉の前に「道の駅 温泉の里 神山」にて、昨日いただいた地域共通クーポン券を利用してお買い物。今日のご褒美と明日の行動食を。

そして、温泉に着きました。

 

序盤からこんなに贅沢していいのかというほど豪華な温泉宿。しかし、ここではクーポン券を2枚いただき、実質2食で¥5,000程。go toがなければビショビショでもキャンプ場に泊まっていましたね。

温泉は宿泊者専用もありますが露天風呂はありません。なので、隣の外来入浴の方へ行きました。(券をいただけます)冷えた身体が芯から温められて最高の一言でした。

温泉上がりに、道の駅で買ったサイダーでプハー!っと。

夕食がまた豪華で。神山の恵みがふんだんに使われています。

ーーー 前菜:秋の美菜 五種盛りーーー

錦秋海老・無花果生ハム巻き・小袖寿司・衣かつぎ・栗渋川煮

ーーー造里:秋の造里(三種盛り)ーーー

間八・鮪・甘海老・あしらい一色

ーーー煮物:里芋のクリーム煮ーーー

里芋・すだち鶏・海老

ーーー洋皿:サーモン香草チーズ焼きーーー

秋鮭・茸とパプリカのカルパッチョ

ーーー小鍋:神山風ちゃんこ鍋ーーー

鶏つくね・豚肉・帆立・キャベツ・榎茸・人参・京葱・ニラ

ーーー食事:神山米のご飯と香物ーーー

最後、松茸の土瓶蒸し(松茸,海老,三つ葉,銀杏)のおつゆをご飯にかけていただきました。

ー水菓子:自家製 モンブランと旬の甘味ー

自家製モンブラン・梨のカダイフ巻き

どれもこれも本当に本当に美味しくて大満足。満腹も満腹で、1時間かけてゆっくり食べました。お料理を運んでくれる人に、あの子めっちゃ頑張って食べてるなあと思われていたかもしれない。

食前にはすだちジュースが出ましたが、徳島県を飲んだ気分。本当に美味しかったです。これだけいろいろな料理が出ましたが、デザートもたっぷり量がありました。

神山町まで歩かれる方は、神山温泉で贅沢してもいいと思います。go toがなけらば・・・と言いましたが食事が本当に本当に美味しくて、この食事を食べにまた訪れたいです。


神山温泉「ホテル四季の里」

徳島の日帰り・宿泊温泉 | 徳島神山温泉 ホテル四季の里
神山温泉は、徳島神山にある温泉・宿泊ホテルです。まったりさっぱりの温泉と地産地消のお料理。夫婦・家族旅行、四国八十八ヶ所お遍路にも最適。徳島市内から車で35分の里山環境で、日帰り入浴もOK。徳島県神山町のご宿泊は、神山温泉ホテル四季の里に。


歩き遍路最大の難所「焼山寺」が終了しました。長い道のりですが先人の気持ちに一番触れられる道で、お遍路ではやはりこの山道が一番素敵でした。

★歩行距離:23.9km
★累計:73.8km

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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