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日本のロングトレイル!雪国を味わう苗場山までの110km「信越トレイル」を歩く#7【苗場山】

ロ ン グ ト レ イ ル

 

2022.10.21(金)

歩き人たかちです(@takachi_aiina

信越トレイル7日目。昨日は、町と山を繋ぐロード歩きが中心。河岸段丘の地形を感じ、ブナのトンネルに癒されながら結東温泉の「かたくりの宿」まで歩きました。

今日は、ついに、苗場山へ!「苗場山は信越トレイルで登る」と決めていました。「小赤沢」まで集落と山を歩き、麓から一気に登ります。

「苗場山頂ヒュッテ」に泊まるため「かたくりの宿」から一気に歩きましたが、"秋山郷の食"を味わうことなく通過したことは後悔しています。

小赤沢周辺では食と温泉を楽しめるので、ここはのんびり進んでも良かったなと。日本のロングトレイルは、やはり食と温泉が醍醐味。

[  section1- section6  ]
 1日目:斑尾高原ー斑尾山ー赤池
 2日目:赤池ー希望湖ー桂池
 3日目:桂池ー仏ヶ峰ー光ヶ原高原
 4日目:光ヶ原高原ー野々海高原
 5日目:野々海高原ー森宮野原駅

[  section7- section10  ]
 1日目:森宮野原駅ーかたくりの宿
★2日目:かたくりの宿-苗場山
 3日目:苗場山ー祓川登山口

天気:晴れ ☀︎
気温:苗場山12時 → 11℃
風:南西2m/s → 南南西4m/s


かたくりの宿-見倉橋-見倉集落-大赤沢-小赤沢-1合目-大瀬の滝-2合目-3合目-4合目-5合目-6合目-7合目-8合目-9合目-▲苗場山-苗場山頂ヒュッテ

▲ コースタイム:11時間40分
▲ 歩行距離:18.2km
▲ 累積標高差:+2012m/-452m

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秋山郷[ かたくりの宿 - 大赤沢 ]

 

かたくりの宿-見倉橋-見倉集落-大赤沢:CT4時間

4:30起床、テント内5℃。先週の関田山脈に比べて気温はさらに下がり、ひんやりした朝を迎えました。

結露でびっしょり、ひえっひえのテントの撤収は手が痛くて捗らない。雑にしまい込んでトイレを済ませ、洗面から出るお湯で生き返る。

予定より遅れて6時に出発。秋山郷の名物「見倉橋」を渡り、見倉集落を抜けてゆく。

秋山郷トレッキングコースマップ

気になっていた「結東の石垣田」は、かたくりの宿からさほど離れていないことにここで気がつく。

鳥甲山と苗場山の溶岩が崩れた落石を積んだ石垣で、何段も組まれた棚田が美しく「全国農村景観百選」に選ばれています。歩きでは遠いと思い込んでいました。見たかった。

ターコイズブルーのような、暗めのミルキーな水色がちらり。

「見倉橋」に到着。一度に渡れるのは6〜7人が限界とのこと。控えめなミシミシ、ユラユラが渋くていい。

大杉峡谷とか奥祖谷とか、日本には美しい渓谷がたくさんありますが、色や雰囲気がすべて違う。どれも地形と色彩が豊かで個性的。

朝なのでまだ日が当たっていませんが、時間帯によって色が変わる渓谷はいつまでも眺めていられますね。

少し色づいた葉っぱがいいアクセント。昨日、日の当たっている時間にも来ればよかった。

「小豆坂」と同じような傾斜の斜面。こちらはスパンの短いジグザグ道で、見倉集落と結東集落を繋ぐ大事な道。現在も、車道だと少し遠回りになります。直線距離は短いけど、山と川の日本らしい地形です。

登り切ると、4〜5軒ほどの小さな「見倉集落」。田んぼや畑があり、自然の暮らしを営む小さな里山。煙突から煙がモクモク出ている、平和な風景が広がっていました。

自然と人の暮らしが混ざり合って、ひとつの風景になっているのがとてもいい。

子どもの頃から山の中にある母の実家が大好きで、私の自然好きは里山から始まりました。屋久島をきっかけに本格的に山の世界に飛び込みましたが、大自然もいいけど里山もやっぱりいいな、と思います。

集落を抜け山道へ。途中に土砂崩れがあるようで、雨天時はぬかるみに注意という案内がありました。

まだ日の当たらないブナの森を緩やかに。乾き気味の落ち葉がサクサク響く。

土砂崩れあと。大中小さまざまな石や岩がドシャーッと登山道に流れ込んでいます。

この先に「大栃」の案内あり。道を逸れて15分くらい登るようです。見倉の大栃は"新潟県内最大級"の栃の巨木で「全国森の巨人たち100選」に選ばれています。

今日は行程が長いためスルーしましたが、やっぱり見ればよかったか。

小赤沢に泊まれば、このあたりをゆっくり楽しめますね。

風穴のすぐ先には「小松原湿原」経由の苗場山登山口があります。かなり急登のようですが小松原湿原も良さそうで、小松原避難小屋に1泊して苗場山に登ってみたい。

駐車場との分岐から見倉トンネルの迂回路へ。ブナ林のトラバース道はフラットでとても歩きやすい。

ブナの個性が光る、ブナの美術館トレイル。どんな紆余曲折を経てこの形になっているのか、豪雪地帯がつくる造形美は面白い。自然環境が厳しいほど見応えがありますね。

迂回が終わり車道に合流。大赤沢まで3.4kmのロード歩き。トラックが多いので要注意。

学校の送迎バス?が通りすぎてゆく。あの人何で歩いているんだろう?という目で、まじまじ見られた。

「大赤沢」に到着。ここには山源木工というお店があり、地図には食事マークがついています。1階の木工品が置いてあるところは開いていましたが、食事は10時からのようです。そのまま「小赤沢」へ。

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苗場山の麓[ 大赤沢 - 1合目 ]

 

大赤沢-小赤沢-1合目:CT2時間10分

車道を離れて山道へ。今日一の傾斜をぐんぐん登る。ふくらはぎがピーンと張る粘土質の道に少し汗ばみながら。

なだらかになり気持ちよく歩いていくと、パッと開けて「甘酒村跡供養塔」がありました。天保の飢饉により全滅した村で、わずか2戸だけだったそう。

「北越雪譜」で有名な鈴木牧之。1828年に初めてこの地を訪れた鈴木牧之は、「秋山記行」に当時の秋山郷の文化や風習を記しました。出版には至らなかったものの、貴重な資料として保存されています。

その鈴木牧之が歩いた、新潟県津南町と長野県栄村の県境あたりから小赤沢までの区間が「牧之の道」ハイキングコースとして残されています。

「牧之の道」は、信越トレイルでは珍しい杉林の道。豪雪地帯ならではの"根曲り杉"がズラリと並びます。

雪の重みに耐えながらもまっすぐ伸びようとしている杉の巨木の根元は、太くて、立派で、力強い。

植林の細っこい杉とは威圧感がまるで違う

熊野古道のような気分で歩いていると「苗場神社」に出ました。ジブリに出てきそうな雰囲気の神社。集落の中にポツンとある小さめの神社、結構好き。苗場山までの無事を祈ります。

近くには秋山郷総合センター とねんぼがあり、ここでトイレをお借りしました。秋山郷の資料館になっています。

少し休憩して9時半出発。歩き出すと小赤沢で有名な楽養館の案内板。日帰り温泉と食事処があります。

秋山郷の食を楽しみたかった場所ですが、今回は行程が合わず。泊まるか、苗場山スタートで下山してくるなら温泉も入りやすいですね。またのお楽しみに・・・

「ドライブイン苗場」の前で、カゴに野菜を入れたおばちゃんたちが楽しそうに井戸端会議。そんな麓の風景を見ながら苗場山へ。

民宿エリアを横切りましたが、トレイルから若干外れていました。地図をよく見ていなかった。先で合流するので特に問題ありませんが。

無心でロードの坂を登る。暑い。ここが一番辛かった。

30〜40分ほど車道を登り、待望の「一合目」に到着。この標識の奥に道があったようですが、そのまま車道を登ってしまいました。

水の音が聞こえてくると「大瀬の滝」に到着。本来はトレイル上にありますが、間違って車道を登ってしまったので階段を少し下って見に行きました。

マイナスイオンで身体が冷やされる。滝壺の色が素敵で、ほんのり紅葉した背景がいい感じ。

\ 大瀬の滝 /

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小赤沢ルート[ 1合目 - 8合目 ]

 

1合目-大瀬の滝-2〜8合目:CT4時間40分

「大瀬の滝」からもう少し登ると、苗場山への山道が始まります。とりあえず、駐車場のある3合目へ。この区間を車道で登ろうとすると、結構な遠回りです。

歩き出すなり細い粘土質の道。先週歩いたばかりの関田山脈が、すでに懐かしい記憶になっています。

静かな森が美しく、歩きやすくなりました。小赤沢ルートは3合目から登る人がほとんどで、1〜3合目はほとんど誰も歩いていません。

信越トレイル110kmの道のりで考えたら、今は9合目あたりだろうか。「苗場山は信越トレイルで登頂したい」という気持ちで歩いてきましたが、今日はとても清々しい。

渡渉をして、濡れた岩に濡れた草が覆い被さる滑りやすい道をゆく。

突然「2合目」が出現。不意打ちすぎた

3合目までこんな感じの道が続くのかな?とハシゴを登ると・・・

眩しいほどのブナの森がお出迎え。関田山脈では少し早かったですが、いい感じに染まり始めていました。

緩やかなハイキングコースのようになり、なんだここ!なんだここ!と口から出てくる素敵区間。個人的に、2〜3合目までの区間が一番綺麗でした。これは1合目から歩いた人の特権。

鮮やかに飛び込んでくる色は、植物が1年役目を果たした立派な色。

\ 2〜3合目のブナ林 /

最終セクションのカウンターボックスを覗くと320人目。苗場山は少し多いかと思いましたが、そうでもありませんでした。

どんなに美しい場所でも通り過ぎなければならない。それが、山歩きのちょっと寂しいところ。

11時頃、3合目の駐車場に到着

登山口横の水場は、細くチョロチョロ出ていました(要浄水)。2合目の沢で汲んだ方が楽だったな。4合目にも水マークがありますが、タバコを吸っている人がいて颯爽と通り過ぎたので未確認。

「苗場山頂ヒュッテ」に水場はなく、ペットボトルの購入(500ml¥350)。売り切れの場合もあるようなのでご注意を。

ロングトレイルからいつもの登山になりました。綺麗に整備された広くて歩きやすい道と、たくさんの人に戸惑ってしまう。

ブナワールドは先ほどの区間だけで、3合目から上は植生がさまざま。

「4合目」に到着。裸の木が増えました。ちょっとした標高差でこれだけ様子が違う。水平思考のロングトレイルと、垂直思考の登山。違いを楽しみながら。

4〜5合目の間は傾斜が一番緩やかで、ぬかるみも調子を上げる。木道があったり、丸太が敷かれていたり。

「5合目」到着

5合目から岩がゴツゴツしてきました。傾斜も増し、鎖も登場。岩には泥がついて滑ります。

振り向くと関田山脈。いつの間にかその標高を超えていて、なんだか小さく感じる。遠くなってしまったけど、歩いて繋げてきたんだなあ、という感慨深さは大きな支え。

手足を泥まみれにしながら「6合目」に到着。鎖場と泥はさらに激しくなっていく。小赤沢ルートは、思っていた以上に急なゴツゴツでした。

下山の人が「これは結構厄介だなあ」と言っていましたが、ピストンでなければ小赤沢コースは登り利用がいいですね。

乾いた岩ならまだしも、粘土質の泥で結構滑る。雨の中無理にスルーハイクしていたら、半ベソだったな。

「7合目」。まだまだ岩場が続きます。一旦帰宅したときの苗場山の天気は雪で、北斜面にところどころ残っていました。アイスバーンにはなっていませんでしたが、苗場山は10月に入るといつ雪が降ってもおかしくない。

暑いのか、寒いのか、自分でもよくわからずアームカバーを上げ下げしながら進む。

ご夫婦との立ち話で信越トレイルを歩いていると話すと「うわあ、すごいね!」と。

ロングトレイルを歩いているとよく「すごい」と言われるけれど、行為自体は一番単純で原始的。日常から"歩く"ことが離れれば離れるほど、歩き続けることが"すごいこと"になる。昔の人は健脚だったかもしれない。でも、当時はきっとそれが"普通"だった。

人の優しさに触れ、自然の優しさと怖さに触れ、ちっぽけな己と必要十分な生活を知る。自分がもがいている環境の狭さと、地球の大きさを知る。つまり、アウトドアは最高!と叫びたい。

そんなことを考えながらひたすら岩を登っていくと「8合目」。「あともう少しですよ」と言われ、元気が出ました。

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大湿原[ 8合目 - ▲ 苗場山 ]

 

8合目-9合目-苗場山:CT50分

頭上が明るくなり、急傾斜も終わり、そろそろ湿原!?という雰囲気の乾いた道を上がっていくと・・・

ここまで歩いてきてよかった

不意に口から漏れました。ドロドロの急坂とは比べものにならないほどの異世界感。ほんのり温かい優しい日差しを受け、とても幸せな気分。

ここが苗場山・・・小赤沢ルートだったからこその感情かもしれない。ザックを下ろすと肩の力がガクッと抜けました。

「9合目」から先はは一旦樹林帯に入り、さらに広大な湿原へと進みます。

この区間もなかなかのドロドロ具合。落ち葉に隠れた泥沼に思いっきり足を突っ込んだ。

そんなこんなで再び木道

麓にあった「苗場神社」の奥の院が湿原の中にあります。湿原でまったりしたいのでスルー。

苗場山の湿原が広大であることは知っていましたが、想像以上でした。奥までずーっと、ずーっと続いている。

雑誌の写真などで何度となく見ましたが、その場の空気やスケール感は実際に来ないとわからない。同じ苗場山でも、人によって見方や感じ方は違う。人の数だけ、気持ちの数だけ景色がある。

7日かけて登った苗場山は、それはそれは愛おしかった。お昼頃、薄く広がっていた雲はいつの間にか消えていて、歓迎されたようで嬉しい。

日帰りの登山者が姿を消した静かな湿原。14時を過ぎても、名残惜しそうにベンチに座っている人もいました。ここは、絶対泊まるべき。

日帰りできる山にあえて1泊するのは好き。夕闇が迫る頃、泊まらなければならない山とは違う、何とも言えない雰囲気が漂います。"泊まった人たちだけの山"という感じがとても好き。

夕方の湿原がとても素敵だったので(朝は残念ながらどんより)、泊まって良かったと心底思いました。

山湿原に出てから、だいぶ時間をかけて小屋まで歩いてきました。とりあえず山頂へ。小屋から30秒ほど奥へ入り・・・

\ 苗場山頂ヒュッテ周辺ぐるり /

苗場山登頂!信越トレイル踏破!

標識にはトレイルマークがしっかりありました。途中からは苗場山の道標だったので久しぶり。

関田山脈で終わらず、延伸されて苗場山が起終点となったことで日本の山里と集落の文化がより強く感じられ、さらに魅力溢れるトレイルになったと思います。大きな山がひとつあるだけで全然違う。

ただただ、最高・・・

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「苗場山頂ヒュッテ」に1泊

 

気さくな小屋番さんが受付をしてくれました。「苗場山頂ヒュッテ」に関してはこちら

中はとても綺麗で、3人くらい寝られる寝床に今日は1人。予約時に「もしかしたら相部屋になるかもしれません」と言われましたが、結局1人でした。

小さな窓に長めのテーブル。壁には山の写真が掛けられていて・・・こんな秘密基地のような自分のスペースが欲しいと、何度妄想したことか。

昨年まではコロナの関係で布団類の提供を中止していましたが、2022年度は再開(シーツ要持参)。

枕カバーも持参と記載がありますが、受付で苗場山頂ヒュッテのタオルをいただき、それを枕カバーにしてくださいとのことでした。私はシュラフを持っているので、敷布団と枕だけ拝借。

食堂にもたくさんの写真が飾られています。「バーナーは食堂でどうぞ」とのことで、宿泊者の夕食が始まる前に。

ヒュッテのカレーはすごく美味しいと聞いていましたが、素泊まりにしてしまいました。しかし、夕食時に「普段はおかわりしないんだけど、美味しいから少しもらおうかな」とか「このカレー何使っているんですか?」という会話が聞こえて、やっぱり食べればよかったと後悔。

寝床に貼ってあった湿原の案内図

小赤沢方面から歩いてきて、ここは夕日がよく見えそう〜と思ったスポットは、小屋番さんもおすすめの夕日スポットでした。

16時頃、赤湯方面の池塘スポットへ行ってみることに。「滑るから気をつけてね〜」と言われながらサンダルで飛び出す。

傾いた強烈な西日が湿原を照らし、草もみじの色がより一層濃くなる。ピークはとっくに終わっていますが、ピークかと思うほどに染められました。

濃紺の池塘とオレンジの相性抜群

「美しい」だけでは言葉足らずだけど、その一言にすべてが詰まっている。

気がついたら16:45。日が沈む!と小走りで小屋へ戻りました。

ちょうど太陽が山に沈む頃に戻り、小屋前で見送る。おすすめされた夕日スポットには間に合いませんでしたが、ヘッドランプを持ち忘れていたし。

池塘の色を刻々と変え、遮光カーテンをシャーっと閉めるように、夜の帳が一気に下りる。

苗場山はガスが多い山なので、「最後までこんなに晴れてることはあんまりないですよ、ラッキーですね」と小屋番さん。またひとつ、ご褒美をいただきました。

夜空には天の川が広がりました。今日から明日にかけてオリオン座流星群が見えるらしい。30秒ほどで行ける山頂は、小屋の明かりが届かないためよく見えるそうです。

夜になると、山頂ではウサギがよく走り回っているそうですが、寒くなってもうほとんど出てこないとか。そこにある自然を熟知している小屋番さんたちの話は、本には書かれていないから面白い。テントも好きだけど、山小屋も好き。

明日は「祓川登山口」へ下山します。信越トレイルのマークはもうないけれど、帰るまでがロングトレイル。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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