歩き人たかちです。
アウトドアにおいて、とても重要な"天気"。
天気に関しては、人それぞれ意見があると思います。少し前には、SNS上での発言が物議を醸していたりして。

私は、基本的に雨を避けて山歩きを楽しみます。季節ごとに行きたい山を挙げておいて、休みの日に一番天気のいい山をピックアップ。
直前まで天気を見て決めるので、予約は本当に苦手。夜行バスやテント場が満室で山域を変えることもしばしば。そのため、ずっと行けていない山もあったりして…
私の場合、「山頂を踏む」ことよりも「山を歩く」ことに重きを置いているので、できる限り晴れる時間の長い山を選びます。
山を歩き始めた頃は、もしかしたら雨の上がる時間があるかも…なんて淡い期待を抱いて登り、結局3日間雨。高山植物いっぱい見れたし…なんて強がりなことを言っても、結局リベンジで同じルートをまた歩きにいく。休みを合わせた仲間との登山でも同じですね。
最近は、「もしかしたらこの山は、一生に一度しか登らないかもしれない」という気持ちを抱くこともあるので、尚更天気は気にします。
話が長くなりましたが、山行前はとにかく天気予報とにらめっこ。あらゆる媒体で天気を確認しているので、ご紹介します。
最終的な判断材料として使用しているのは、ヤマテン、SCW、Windy。その他は一週間ほど前からのざっくりとした予報メインで使用し、直前までメインの天気予報を裏付けるような感じで見ています。
山の天気予報サイト・アプリ
ヤマテン[ 有料 ]
有料の天気予報。月額300円+税。私が一番信頼している山の天気予報"ヤマテン"。
山岳気象予報士として有名な猪熊隆之さんが立ち上げたもの。「ヤマテン」は、国内初の山岳専門気象会社です。

10周年を迎えてサイトがリニューアル。以前は百名山を中心に18山域59山でしたが、現在は全国330山の予報を見ることができるようになりました。高尾山の予報までありましたね。
山岳気象予報士の方による予報なので、精度はやはり高いです。もちろん100%ではありませんが、大体の安心感は得られます。
天気図でおおまかな予測をして、直前の天気予報で最終判断をしています。

天気予報の画面はこんな感じ

山ごとの詳しい予報は2日間しか出ません。山の天気はコロコロ変わるので。
1日4回更新され、翌日と翌々日の天気は17時に更新されます。

天気図はこちら。気圧配置を10日先まで確認できるので、これで雨雲の動きや風の強さを見てざっくりと計画を立てます。

天気ごとに色分けされたものも表示できます。これは3日先までなので、最終的に確認しています。
その他、500,700,850hpごとの気温や風も10日先まで確認できます。あまり見ないですが…

主要な60座(百名山などの有名山岳中心)は気象予報士のコメント付きで、細かい天気の移り変わりや予想されるリスクなどが解説されています。また、大荒れ情報なども出ます。

ちょうど台風で大荒れ情報が出ていました。
お盆、年末年始、GWなどの大型連休には5日、または7日先までの特別な予報が発表されます。
その他にも、今週のオススメ山域などの情報が届くので、週末登山をされる方にはいいかと。基本的に土日の情報なので、暦通りの休みではない人には…ですが。
ヤマテンは、youtubeで天気の解説や天気図の見方なども公開しています。
頻繁に登山をされる方にはオススメの天気予報。もちろん外れるときもありますが、どちらかというと良い方向に外れることの方が多い印象です(雨マークだったけど晴れた!)。
最終的には当日にならないとわかりませんが、信頼の大きい天気予報が一つあるだけでも心の在り方が違うかと。特に雪山では、夏山以上にチェックしています。
あまり山に行けない月があったり、雪山は登らないということであれば、その間は退会して節約すればいいと思います。入会・退会も非常に簡単なので(リニューアルして、継続特典もできたようですが)。
↓ヤマテン HP↓
SCW[ 無料 ]
ヤマテンの専門天気図とともに使用しているのが"SCW"。アプリではありません。

画面はこんな感じ。「予測→詳細→広域246」を選択した画面。10日先まで見ることができます。
ちょっと専門的なので、他の操作は正直よくわからない部分もあるのですが、雲の量を確認して晴れ具合を見ています。
上の写真だと、長野県にはほとんど雲がないので、後立山連峰あたりはよく晴れそう。
こんなざっくりした感じの使い方です。ヤマテンを見て、「お、ここ行けるかな?」というところがあれば、雲の濃い薄いを確認。3日分くらいは1時間単位で動かすことができ、それ以降は3時間ごと。
稜線歩く時間はどうかなとか、朝日と夕日はどうかなとか、そんなのを考えるのにも使っています。

これだと、後立山連峰は完全に雨ですね。強めの予報で、雷の可能性もあります。
候補地がいくつかある場合は、これを見てより晴れそうな山域を選んでいます。割と恩恵を受けているので、精度はそれなりにいい印象です。

風の予報も出ますが、等圧線はちょっと見にくいですね。
Twitterもあるので、最新情報などはそちらでもチェックできます。
↓SCWサイト↓

Windy.com [ 無料版 ]
視覚的に風の動きを確認できるアプリ。天気予報は10日先まで閲覧可能です。

画面はこんな。パッと見て、全体の風の強さを確認できます。台風ですね。
拡大・縮小は自由自在。1時間ごとの変化を見ることができます。

メニューから「雨・雷」を選択するとこんな画面に。「雨・雷」の中にも累積雨量、新雪、雷雨など、細かく選択可能。気温、雲、波などいろいろあります。

等圧線を入れることもできます。低気圧がいっぱいですね。衛生や気象レーダーも見れたりして、結構楽しいアプリです。

肝心の天気予報はこんな。槍ヶ岳を検索。地図を拡大すると、等高線が出てきます。
テント場があればテント泊なので、風に関しては結構しっかりチェックしています。例えば、大天井岳直下の大天荘のテント場は風が強くて有名。天気が良くても風によって苦労をすることが多々あります。
また、登山において怖いのは「風」。個人的には雨よりも風が怖いので、Windyはとても重宝しています。

要注意なのが「うぃんでぃー」という有料アプリ!

アプリ内のすべての機能を使うのは有料。インストール後に誤って「無料トライアルを試す」みたいなボタンを気軽に押し、解約を忘れると高額な契約料を取られます(1年分)。
こんなのもあるんだ〜とインストールして、その画面で ✖︎ ボタンを押したためか私の場合無料トライアルの契約にはなっていませんでした。一応次の日も、サブスクリプションの契約になっていないか確認。
iPhoneの場合、「設定→一番上の自分の名前(Apple ID)→サブスクリプション」を確認すれば、現在何の契約をしているのか見ることができます。
怖くてすぐ削除したので、無料でどこまで使えるのかはよくわからず。プロアカウントを使いこなすということであれば良いのかもしれませんが、ご注意ください。レビューにもいろいろ書かれています。
てんきとくらす[ 無料 ]
登山をされる方の間では一番見られているのではないかという、通称「てんくら」。行楽地から山の天気まで広くカバーしています。

一週間ほど前からのざっくりとした天気を確認するのに使っています。
ただ、強気の予報を出すことが結構多い印象です。天気図で「この日はがっつり雨雲かかるなあ〜」なんていうときも、てんくらでは晴れマークがついていたり。それで、直前になって雨マークに変わったり。
直前になってもてんくらだけ強気なんてこともありますが、ヤマテンが外れててんくらが当たったなんていうときもあるので、参考にはしています。
ちなみに、雨マークがつくとすぐに「C」予報になります。雨だとしても風が全くない場合もあるし、八ヶ岳の苔の森を楽しむときなどはむしろちょっと濡れていた方がよかったり。山域によっては、降雨量や風を確認して楽しめばいいのかなと。
↓てんきとくらす↓
tenki.jp 登山天気[ 有料 ]
日本気象協会の登山専用アプリ。有料で、月額240円(税込)。
300名山の天気予報を確認できるので、300名山を目指している方にはいいかもしれません。
グレートトラバースで300名山を歩いた田中陽希さんも使っていたそうです。
精度に関しては意見が分かれている印象。登山専用ではない普通の日本気象協会の天気予報は結構コロコロ変わるので、翻弄されることが多いですが…
「マイ山」に行きたい山を登録しておけば一発で見比べることができるようで。地点ごとの天気が表示されたり、天気図を見ることも可能。機能が充実しているので、使っている人は多い印象です。7日先までの天気を確認できます。
1ヶ月間無料で試すことができるので、山によく行く月に試してみるのもアリだと思います。

また、YAMAPと業務提携もしています。

mountain forecast[ 無料 ]
日本を含めた世界の山対象の天気予報サイト。海外サイトなので英語表記です。有名処はカバーしている感じですが、日本のサイトに比べたら少ないですね。

面白いのは、気温表記の下の「feel」というもの。風などの影響を考慮して"体感温度"が表示されます。
これは槍ヶ岳の予報ですが、台風接近に伴い風が非常に強い日の予報。6日の天気は良いですが、気温に比べて体感温度がだいぶ低くなっています。
レイヤリングなど、装備を考える上で参考にするのはいいと思います。
*風速1m/sで体感温度は約1度下がるといわれます。気温10度、風速10m/sなら体感温度は約0度。

標高を選択すると、その標高の最高気温、最低気温、体感温度が表示されます。

かわいい天気図もありますが、この精度はどうなのでしょう?個人的にはまだ不明。
海外の山に登るときは使えると思います。
↓mountain forecast↓
BIOWEATHER SERVICE[ 無料 ]
週間気圧配置図を見られるサイトです。

そんなにじっくり使っているわけではありません。一週間分の気圧配置図をパッと見ることができるので、今週どうかな〜くらいのテンションでなんとなく眺めています。
こんなサイトもあるんだ、程度で。
↓BIO WEATHER↓
YamaYama GPV[ 無料 ]
このサイトの特徴は、"雲の量を数値で見る"ということ。


地点別に雲量、降水量、湿度、気温、風速、海面気圧がブラフで数値化されます。
地図上を動かしながら見ることもできますが、メニューに「山リスト」があり、山を選ぶとその地点のグラフに切り替わります。

また「データ選択」から、最大246時間後までのデータを見ることができます。

こちらも参考程度に眺めています。SWCを見た上で雲量の数値を確認したりする程度。
↓YamaYama GPV↓
雨雲レーダー
雨雲レーダーは「Yahoo!」や「weather news」など、通常の天気予報のものを見ています。
Windyなどでも見られるので、割と何でもいいかなと。ただ、オンラインでないと見られないので、登山中は限られますね。
専用アプリもありますが、とりあえずこれで事足りています。
日本雪崩れネットワーク
雪山やバックカントリーをやる方は雪崩情報にも敏感に。私自身バックカントリーはやらないので、基本的にはヤマテンの予報に加えて雪崩に関する注意事項を確認しています。

主に北海道の一部、立山、白馬、妙高、谷川武尊とエリアは限られますが、谷川岳には毎年行くので一応確認しています。
早朝に更新されることがほとんどなので、当日の情報を確かめてから登山を開始できます。


警戒レベルや、どんな雪崩に注意すべきかなどがわかります。積雪や天候に関しての説明もあり。
メニュー内の「観察データ」には、その日の様子が写真とともに掲載されます。投稿しているのは基本的に日本雪崩ネットワークの正会員で、トレーニングスクール「雪崩業務従事者レベル1」以上、あるいは同等資格を所持している人です。
バックカントリーをやる方、始めるという方は要チェックサイト。
↓日本雪崩れネットワーク↓

少しでも安全に歩くために
天気予報の精度も上がり、昔に比べたら安全性も高まっていると思います。しかし、"山の天気は変わりやすい"という事実はいつの時代も同じなので、天気予報を過信するのは危険です。あくまでも"予報"。
外れることは当然あるので、常に空を見ることが大切。その上で知っておくと便利なことが
「天気は西から崩れる(変わる)」
日本の上空は偏西風の影響を受けやすく、前線が西から東へと移動していきます。そのため、西側の高い山に雲が現れ始めたらちょっと警戒。
しかし、これは風向きによっても変わり、その雲が風上にあるのか、風下にあるのかも重要。風下ならば近づいてくる可能性は低くなります。
そして、天気が回復するのもまた西から。
重要なのは"湿度と乾燥"。南の風は暖かい湿気った空気なので天気は崩れ、北の風は乾燥した空気なので天気は回復。
南西の風 → 天気悪化
北西の風 → 天気回復
山域によって影響する風向きは多少違いますが、日本列島が受ける影響としてざっくり覚えておくだけでも役立ちます。
もちろんこの「西から天気が変わる」というのも絶対ではなく、一般的な地球の仕組みでは西から変わるということ。台風とか他の影響を受ければ、西以外から天気が変わることはあります。
天気のおすすめ本
西穂山荘の支配人であり、気象予報士の粟澤徹さんの著者。
天気の基本を抑えるにはおすすめの一冊。優しい解説でとてもわかりやすく、イラストが多いので視覚的にも理解しやすいです。
何度も読み返しながら、少しずつ知識を定着させようと奮闘していますが、天気はやっぱり難しいなあと。
覚えておくと便利な「観天望気」。少しでも知っていると危険察知能力が上がるし、空を見るのが楽しくなります。
面白そうだと思いつつ手を出していない本ですが、観天望気に興味のある方にはとてもいい本だと思います。
最後に
山の天気は難しいので、一つの天気予報で過信するのではなく組み合わせて判断するのがベストです。
何を選ぶかは人それぞれですが、私自身は精度を一番に重視してヤマテン、SCW、Windyで最終判断をします。しかし、そこに至るまでの過程ではあらゆる媒体を見るし、麓の天気予報も確認します。
他にもサイトはあるし、これから新しいサイトやアプリも出てくると思います。使いやすいものを組み合わせてみてください。
山歩きにも人それぞれ事情があると思います。最終的には自己判断になりますが、自然が本気を出したときは本当に恐ろしい。
山小屋(尾瀬)で働いていたときも、ハイシーズンのときは毎日のようにツアーの方々が来ていました。天気予報で「発雷確率75%」となっていても基本的にはキャンセルなし(雷雲が真上にくるという時間帯に出発する場合も)。
個人であれば、雨雲レーダーを見て避けながら歩くことができます。しかし、ツアーだとそうはいかないし、キャンセル料もかかる。雷が鳴り、バケツをひっくり返したような雨の中、ずぶ濡れになって到着する姿を見て疑問に思うこともありました。足を滑らせて怪我をする人もいました。
「ツアー決行 = 天気の危険なし」というわけではない。ツアー会社やガイドさんにも事情があるので、やはり、一人ひとりがしっかり判断すべきだと個人的には思います。

翻弄されて、悩んで、自分で判断をする。登山は準備から始まっている。頭を抱えながら計画を立てるのも、山の醍醐味ではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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