歩き人たかちです。
前職で先輩に八ヶ岳全山縦走に誘われとき、スピードハイク用のザックを物色。深夜0時頃出発し、その日の19時頃に下山という、結構過酷な計画。結局雨で中止となりましたが、そのとき出会ったザックの背負い心地がとても良いのでご紹介します。
ご紹介するのはOMM(Original Mountain Marathon)の「Classic25」です。
「OMM」とはブランド名でもあると同時に、イギリスで行われる伝統的なアウトドアレースの名称。このレースのために開発されたブランドです。
日本でも"OMM JAPAN"が開催されています。過酷な山岳レースにおいて、いかに軽く、機能的で、身体にフィットさせたデザインにするか。
山を走ることへの思いが詰まったザックです。
Classic25の購入経緯
OMMを購入したのは5年程前。
決め手は"フィット感"と"使いやすさ"。
それまでも、比較的軽めのシンプルな日帰りザックを使用していましたが、シンプルが故に欲しい機能が省かれていたり、背中も簡易的で合わなかったり・・・
普段トレランはしないので、がっつりトレラン用ではない、小屋泊にも使える25Lくらいのザックはないものかと探していました。
ULブランドはネット販売中心の物が多く試着が難しい。また、低身長の自分には合わないものの方が圧倒的に多い。OMMのザックは近くのアウトドアショップで取り扱いがあったので試着。すると・・・
背中に・・・ピタッ!!
ザックが身体の一部となりました。
なんだこれ、すごく背負いやすい。背負いやすいというか、背負っている感じがあまりしない(=重さを感じない)。背中に吸い付いているような、吸盤でピタッと張り付いているような感覚。
それくらい背中にしっかりと密着して揺れを無くし、存在感を消すザック。
背負い心地がとても良い上に、軽いけど雨蓋ポケットあり、メッシュポケットあり、腰ポケットあり・・・ポケットがいっぱいあるけど、無駄なポケットはない。
求めていた背負い心地と、素晴らしい機能性。
購入決定!
重量・サイズ・素材

容量 | 25L |
総重量 | 670g |
パッド無し重量 | 540g |
背面長(ワンサイズ) | 45cm |

容量は25L。日帰り、小屋泊ともに使える容量です。
開口部がガバッと大きく開き、前面メッシュポケットも大きいので、実感としては30Lくらい入る気がします。
ザックの総重量は670g。現在は500g、400gを切るモデルも多いので、重量だけみると激軽!という訳ではありません。しかし、雨蓋やウエストベルトなどのポケットが充実でこの軽さであれば十分かと。
靴などと同じく身体に合って、しっかりフィットしていれば実際の重さより軽く感じます。OMMはフィット感が素晴らしく、"持ち上げると重いけど背負うとそうでもない"。
実際に、山と道のMINI2(旧モデル)は400gを切る重量ですが、自分の身体にはOMMの方が合っているため軽く感じます。
手で待つとOMMの方がもちろん重いですが、フィット感がいかに大事かを実感。

背面長はワンサイズで45cm。フレームはありません。
自分の場合、通常45cmでも大きいのですが、重さが加われば肩の浮きもなく調子がいい。何度も背負って、下ろして、肩を動かして、と繰り返しましたが、背負われている感覚はなし。
背面長を心配していましたが、意外にも大丈夫でした。男女関係なく使用できます。

本体生地は210Tのナイロン。軽量で耐水性のあるリップストップ素材。黄色だと、中に入れた袋の文字が少々透けています。
生地の耐水圧は3,000mm。多少の雨なら弾きます。
ボトムは「HTTF」という、 高い強度と耐摩耗性を有する素材。背面とショルダーハーネス前面にも使用されています。
充実の各機能
使いやすいポケットたち
OMMに出会うまでは「軽い=シンプル」という認識でしたが、Classic25は機能性、アクセス性も捨てていない。
いかに素早く、無駄なくアクセスするか。山岳レースのために考え抜かれています。

一番のお気に入りは"前面の大きなメッシュポケット"。
柔らかいメッシュで伸びも良く、結構入ります。

空のプラティパス1L、新しいロールペーパー、手袋、日焼け止め、400mlシェラカップを入れてみた感じ。
普段はロールペーパーやウェットティッシュ、行動食、サングラスなど使用頻度の高いもの、天気が微妙なときはレインウェアなどをズバズバ入れています。
メッシュは濡れたものを入れておいても乾くし、どこに何があるかわかるし、とても使いやすい。好きです。

両サイドのボトルホルダーもメッシュなので、ボトルが結露しても気になりません。
大きさも十分であり、写真はモンベルのクリアボトル1Lと、それよりちょっと細めの500mlのボトルを入れた状態。ペットボトル2本は余裕です。

クリアボトル1Lと、モンベルのアルパインサーモボトル500。底の滑り止めを付けた状態ではメッシュに引っかかりますが、外すとスムーズ。メインの方にどれほどものを入れるかにもよりますが、サイドポケットでの水の運搬は十分です。
ドローコードにより締められるので、ボトル1本でもしっかり固定できます。

雨蓋にもジッパー付きの大きめポケット+メッシュポケット。

ガバッと開きます。
中にはキークリップも付属。

こんにゃくゼリー12個入りが2袋入る大きさ。
ここも、中身をどれほど入れるかで収納量が変わりますが、頼もしい大きめサイズ。大体行動食を入れています。

雨蓋のメッシュポケットも何気に便利。
モンベルのO.D.ロールペーパーがすっぽり入る大きさ。マジックテープで留められるので、手袋や日焼け止め、アームカバーなどを収納。明け方の行動で、必要なくなったヘッドランプをとりあえずしまっておく時など非常に便利。
手袋などは特に、他のものを取り出すときに落としやすいアイテムなので、前面のメッシュポケットには入れないようにしています。

ウエストベルトのポケット。このポケットに関しては、必要性を感じる人、感じない人それぞれだと思います。
サコッシュが主流になり、UL系のザックではテープベルトだけのもの、ベルト自体取り外し可能なものなど多くあります。ベルトに通せるポケットの別売りなど、とことん軽量化しながら好きなようにカスタムできることも魅力の一つ。
しかし、このような面でしっかり包み込んでくれるタイプはお腹周りの負担や痛み、なんかしっくりこない・・・という感覚がなく、やっぱりフィット感はいい。
パッドが入っているわけではないので屈曲性、柔軟性があり、身体の形に合わせてフィットするところが◎。
厚くてしっかりしたパッドは、身体をパッドに合わせなければいけないような気がして、しっくりこないことも多かったり。(私は背面もUL系の方が合います。フレーム入りや厚手のパッドがあると腰が痛くなることが多い・・・)
大型ザックのウエストベルトは腰骨に合わせて荷重がしっかり乗るようにしますが、日帰り用ザックのウエストベルトはお腹の辺りにきます。ザックが揺れないようにする役目なので、背中(肩)でしっかり背負い、ベルトで密着させます。

両ポケットの中にはキークリップが付属。
入れすぎはフィット感に影響しますが、ちょっとした行動食や手袋、ゴミ袋などを入れておくには便利です。サコッシュは小さめを使いたいという方にも、腰ポケットは結構便利かと。
ショルダーハーネス・背面

ショルダーハーネスはEVAパッド入りでクッション性があり、内側は3Dメッシュ。パッドの厚みは約1cm。

厚いパッドは付け根から3cmほど離れた場所から始まります。
個人的に、厚いパッドが付け根近くから入っていると肩のフィット感があまりよくありません。パッドの厚みで屈曲性が低くなり、肩から背中へ曲がる部分が上手くフィットせず、なんか浮いてる・・・というような感じ。
些細なことですが、ちょっとした違和感がずっと気になってしまうので、"まあ、いっか"で終わらせないように細かくチェック。

背面にある穴は、ハイドレーション用。背面パッドを入れるポケットに本体を入れることもできます。

ショルダーハーネス前面には2箇所ずつゴムが付いているので、ハイドレーションのホースはここで固定できます。カラビナやロープを通せるパーツもあり、コンパスを取り付けてゴムに挟んでおいたり。
チェストストラップのバックルはホイッスルになっています。また、チェストストラップは片方がゴムになっており、激しい動きにも対応。この部分がゴムだと窮屈さがなく、本当に動きやすいです。

腰のポケット、背面の下部も3Dメッシュ。しっかり支える部分のクッション性も◎で、汗をかいても不快感はありません。
背中に空気は通らないので蒸れ感はありますが、そのような仕様になっていない限りこれは仕方がない。

背面パッドには"Duomat"が装備。仮眠用の最低限の長さと厚みのマットです。

4つ折りで収納され、広げると結構大きい。
縦:44.5cm 横:78.5cm 厚み:0.5cmあるかないか

岩やベンチに座るときのクッション、テント泊のときの足元付け足し用マットなどに使用できます。さすがにこれで寝るのは厳しい。
違うパッドに変えたり、1枚か2枚切ることで総重量を軽くできます。
その他、細かいパーツ

メインを締めるドローコードは非常に細いものが採用されています。5年程使用して、今のところ切れや傷みはありません。

前面にはカラビナループが両サイドに付いています。カラビナ をつけたり、ロープを通したりして、好きなようにカスタマイズできる仕様。
自分の使いやすいように物を取り付ける、カスタマイズできることが、このザックの特徴でもあります。
ちょっとだけ気になる・・・
とても使いやすいザックですが、気になる部分が少しだけ。

締めるドローコードが細いため、"パーツが抜けやすい"ということ。素早く開いたときとか、スポーンと抜ける。
山行中に無くしたり、落としたりしないように要注意。
ドローコード先端の結び目を何重かにする、ビーズ的なものを通して結んでおくなどで抜けないようにすると安心です。
また、"ドローコードが少々滑りにくい"。生地が溜まり止まってしまうので、2段階くらいで締め上げています。

あとは、"生地の滑りがあまり良くない"こと。滑りにくい生地のスタッフバッグを入れると少々干渉しやすい。
シルナイロンなど滑りやすい生地のスタッフバッグを使用したり、容量に余裕があればあまり気になりませんが、容量分パッキングしていると下の物が取り出しにくいことも。
X-Pacなど、滑りの良い生地のザックに慣れていると引っ掛かりがちょっと気になるかもしれません。
まとめ
"身体の一部になるフィット感"
"重さを感じさせない"
これが、OMMの一番の特徴だと思います。
日帰りから小屋泊まで大活躍のClassic25。特に、行程の長い日帰り登山やスピードハイクでは、できる限り疲労を軽減したいので、とても心強い存在です。
「荷物が気にならない=軽快に歩ける」
北岳〜農鳥岳の白峰三山縦走で、Classic32を背負い軽快なテント泊をしている女性がいました。見ているこちらも軽くなった気分で、とても格好よかった。
荷物を軽くした上で、背負い心地によってさらに軽くしたい方は、ぜひ一度お試しください。
もちろん、万人に合うわけではないですが、激しい山岳レースのために作られただけあって、背負い心地と機能性は素晴らしい◎
特に、"軽量だけどポケットも欲しい"という方には機能面でも使いやすいと思います。
軽量ザックがたくさん出ている中で、身体の一部になるものがどれほどあるか。私にとっては、今まで使用してきたザックの中で一番しっくりくる背中となっています。やっぱりフィット感は大事だなと思わせてくれるザックです。
OMMは、取り扱いのあるアウトドアショップも多いので、他のULブランドよりも試着の機会が得られます。
ご紹介したものは旧モデルで、現在さらにアップデートされたClassic25が発売されています。
ウエストベルトは取り外しできるようになり、しかも取り付けるパーツが"ペグ"という斬新なデザイン。総重量は405gまで軽くなっています。旧モデル、新モデルどちらにも良さがあると思うので、比較してみてください。
テント泊に使用しているif you haveの"hug"も、素晴らしい背負い心地でとてもおすすめです。よろしければご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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