2022.10.1
歩き人たかちです(@takachi_aiina)
裏銀座縦走3日目。昨日は笠ヶ岳から双六岳、そして三俣蓮華岳へと続く稜線を歩き、三俣山荘でテント泊。名物の夕食"ジビエシチュー"をいただきました。
今日は、「鷲羽岳」を越えて水晶小屋へ。その先は未踏の地である裏銀座のメインルート。のっぺりと雄大な野口五郎岳を経て、烏帽子小屋を目指します。
久しぶりの水晶岳に寄り道したかったですが、週末なので、烏帽子小屋の20張程度のテント場を考慮して断念。(結果的には、寄り道してもギリギリ張れるくらいでした)
初めての裏銀座。北アルプスの稜線は「西鎌尾根」が一番好きでしたが、不動の1位が変わりそう・・・というほど、とんでもなく美しい道でした。
2日目:笠ヶ岳-双六岳-三俣山荘
★3日目:三俣山荘-野口五郎岳-烏帽子小屋
4日目:烏帽子小屋-高瀬ダム
気温:朝1〜2℃/午後10℃前後
風:北西1m/s → 北東3〜4m/s
三俣山荘-▲鷲羽岳-ワリモ岳-ワリモ北分岐-水晶小屋-東沢乗越-真砂分岐-▲野口五郎岳-野口五郎小屋-烏帽子小屋-前烏帽子ピストン
▲ コースタイム:9時間15分
▲ 歩行距離:16km
▲ 累積標高差:+1240m /-1250m
三俣山荘から烏帽子小屋へ!美しすぎた秋の裏銀座縦走
三俣山荘 - 水晶小屋
三俣山荘-鷲羽岳-ワリモ北分岐-水晶小屋:CT3時間20分
4時起床。早めの出発を心掛けていたものの、昨夜うまく寝られず。登山道の交差点である三俣山荘は、2時、3時の早い時間帯から動き出します。
今朝も冷え込み、結露はパリパリ。しかし、風がほとんどなく動き出しはスムーズ。

山荘前から望む槍ヶ岳の稜線のシルエットは、切り絵のような芸術作品。

鷲羽岳に向けてハイマツの中を行くと"伊藤新道"の案内。いつか、復活した伊藤新道を歩いて三俣山荘に来たい。
テント場でも、伊藤新道を歩いてきたという人の話が聞こえてきました。6〜7時間ほどだったようです(目安8時間)。
三俣山荘では伊藤新道のマップが販売していました。信濃大町駅近くの「三俣山荘図書室」でも販売しているので、下山後に購入。

鷲羽岳に取りつく。大きな大きな山のガレ場をジグザグに登っていく。聖岳を思い出すような斜面だけど、聖岳はもっも大きなかったか。

三俣蓮華岳のモルゲンロート
振り向くとモルゲンロートが始まり、とんでもなく美しくて、まったく進まない。10歩登って振り返る、を繰り返す。

秋の朝日は、夏よりオレンジが濃いような気がする。この山域の美しさをまたひとつインプットできた。
雲ノ平から水晶岳と鷲羽岳を歩いたとき、三俣山荘から登るのは大変そうだな、と思いながら下山していましたが、朝一の寒さがちょうどよい。


ラストはガレと岩。風が一気に体温を奪っていく。寒いのか、ちょうどいいのか、よくわからないのが秋の山。

鷲羽岳、登頂!

黒部五郎岳のカールが美しい

三俣蓮華岳の斜面はアートだな

4年ぶりの鷲羽岳、楽しみにしていたものがありました。しかし、すっかり忘れていました。"鷲羽池と槍ヶ岳の景色"を見ることを。
「鷲羽池」は鷲羽岳の直下にあり、そこへ至る道はありませんが、槍ヶ岳の稜線をバッグに見るその景色はとても美しいです。良いカメラに収めようと思っていたのに・・・
三俣蓮華岳のモルゲンロートに心を奪われていたせいか、思い出しもしませんでした。もう少し槍ヶ岳方面に寄っていたら思い出しただろうに。なんてこった。
\ 鷲羽岳山頂からの景色 /

風が寒かったので、15分くらいの滞在で水晶小屋へ。水晶岳がかっこよい。

鷲羽岳から一気に下っていき、ワリモ岳に登り返す。

ワリモ岳

ワリモ岳の岩場をトラバース。控えめにロープがあります。

ワリモ岳は、登山道脇の岩場にしれっと標識があります。岩場のてっぺんまでいけると思いますが、そのまま先へ。

水晶岳がぐっと近づいた

色合いが素敵すぎる。角度を変えながら何枚撮ったか・・・夏は夏っていいなと思い、秋は秋っていいなと思う。つまり、どの季節も最高。

「ワリモ北分岐」に到着。ここは、雲ノ平や高天原からの合流地点となっており、水晶岳をピストンする人たちのザックが多くデポされています。
私自身も前回ピストンしましたが、ここにデポするのは早すぎる気がして水晶小屋まで背負いました。しかし、水晶小屋への最後の登り10分が地味に疲れるので、テント泊装備ならここでいいかも。


なだらかな道を歩いているときの幸せよ


ここからの10分が地味に辛い


水晶小屋に到着。水は有料です。三俣山荘でたっぷり汲んだので補給はせず。
雲ひとつない水晶岳。寄り道したいけど、烏帽子小屋でテントを張れなかったら困る。ちなみに今日の小屋泊は満室。
烏帽子小屋は結構厳しい印象で、張れずに高瀬ダムに下山となった知人がいるので、久しぶりの水晶岳は我慢。
水晶小屋 - 野口五郎岳
水晶小屋-東沢乗越-真砂分岐-野口五郎岳:CT2時間40分

水晶小屋から眺める裏銀座縦走路。真ん中あたりの、のっぺりしている山が野口五郎岳。


ギザギザした岩場の斜面の道は細く、足元は滑りやすい砂なので注意。

落ちたら止まらず、ストーン!とね

岩場を渡り歩く。はじめての道は気分が高揚する。歩く分だけ冒険がある。


奥には「表銀座」の稜線。常念岳はどこからでも目立ちます。表銀座から「裏銀座歩きたいなあ」と眺めていて、それが今叶っている。なんだか不思議な気持ち。

「東沢乗越」に到着

野口五郎岳に向けて登っていく

赤牛岳方面

振り返ると、水晶岳がお見送りしてくれているような面持ち。


七倉山荘から登り、今日、烏帽子小屋から来たという男性と立ち話。昨日の烏帽子小屋は10人くらいの宿泊で、テントは16張だったと。金曜日で16張なので、土曜日の今日はもっと多いか?
テント場は心配だけど、最高すぎて全然進まない。小さなテント場は小屋泊にして、昼寝しても大丈夫〜くらいの余裕があると良い。それほど、裏銀座が美しい。
男性から、「烏帽子岳と南沢岳の間が庭園みたいになっていてすごく綺麗だったから、もし時間があったら行ってみて」という情報をいただきました(四十八池)。

下に見えるのは五郎池かな。動物の楽園なのだろう。
\ 紅葉の斜面 /

山肌がどんどん白くなって眩しい

「湯俣温泉」への分岐。ここからの竹村新道は急坂の続くきつい道のようですが、湯俣温泉から登るか、下るか、してみたい。

表銀座の稜線

あたりが真っ白になり、野口五郎岳は目の前に。山頂を経由せず小屋へ向かう道と、山頂経由の道に分かれます。

山頂までザクザクと360m


野口五郎岳、登頂!
名前は渋いけど白い肌が美しい。素敵な山頂だけど、誰もいない。水晶小屋から先、登山者がぐっと減りました。表銀座は人が多いのに、裏銀座の少なさよ。

広い山頂に青い天井。槍ヶ岳と剱岳に挟まれて、とてつもなく気持ちがいい!野口五郎岳、すっかり好きになりました。

野口五郎小屋も見えます。山小屋は赤い屋根が多いけど、裏銀座には青い屋根がお似合い。
\ 野口五郎岳の山頂より /
野口五郎岳 - 烏帽子小屋
野口五郎岳ー野口五郎小屋-烏帽子小屋:CT2時間40分

山頂から小屋までは400mで、先ほどの分岐からだと760m。山頂を経由しない道は770mとなっていました。距離は大して変わらないようです。

野口五郎岳周辺の道、最高か

眩しさ溢れる道を下ると野口五郎小屋。本当はここに泊まりたかったのですが、10月の三連休までの営業だと思っていたら、9月26日で営業終了でした。残念。でも、いつか絶対泊まる、このロケーション。


裏銀座の稜線のハイライト。やばーい!しか口から出なくなっていましたが、もう、本当にやばかった。地に足がついていない。
野口五郎岳〜烏帽子小屋の間がとてつもなく美しい。北アルプスの稜線では西鎌尾根が一番好きでしたが、ここが一番好きかも。順位をつける必要はないけど、私の中でトップ2であることは確か。
表銀座はアクセスもよく、歩いている人も多いですが、裏銀座はとても静か。雲ノ平は奥地だけど人気だから人がいる。こちらの方が"奥"感がありますね。



たおやかで歩きやすい道から、岩やガレでゴツゴツ、ガラガラした道に。野口五郎岳のようなのっぺりした山もあれば、烏帽子岳のようなとんがりもある。いろんな表情があってとても面白い。

稜線ルートとお花畑ルートの分岐に到着。何かで見た、裏銀座の黄葉の写真がおそらくこのお花畑ルートの斜面。ずっと稜線を歩いてきたので、お花畑ルートへ進んでみました。

黄葉はこのあたりか?望遠レンズでないとうまく写らないですが、谷に向かってのびる鮮やかな黄色がとても綺麗でした。これからもっと黄色くなるのかな?
山肌の白と緑のコントラストにポツポツと黄色や赤が混ざる。一面赤や黄の紅葉も素敵ですが、ハイマツの緑が混ざる森林限界の紅葉もよき。

稜線ルートと合流

稜線ルートはあちらから下ってきます



表銀座の槍ヶ岳がフォーカスされがちですが、剱岳を正面に歩くのもよい。


烏帽子小屋までの稜線は、はじめはとても歩きやすい砂地で、途中からガラガラゴツゴツしたガレ・岩の道。そして、ラストの稜線が意外に長くて、見えているけどなかなか着かないやつ。
樹林帯の斜面に色とりどりのテントが点々と見えました。肉眼で確認するだけでも、上の方はもう埋まっているようす。
13時20分、テント場に到着。すでに3分の2くらい埋まっていましたが、一番下の方はまだ空いていて一安心。一番下のサイトから小屋までは5分前後。
裏銀座「烏帽子小屋」でテント泊

一番上のサイト

THE山小屋



烏帽子小屋、全体的に味があって素敵です


コードホルダーがかわいくて、買ってしまった

水は1L200円。トイレは外

小屋から一番遠いテント場は"ひょうたん池"の前。表銀座が見えてロケーションは良いですが、小屋から遠いので誰も張っていない。どうせ下の方しか空いていないので、ここに設営。
設営後、烏帽子岳の方へ行ってみることに。烏帽子岳から戻ってきた方が「烏帽子岳は、登るよりも前烏帽子から見る方がいいかな〜」と仰っていました。
前烏帽子岳から「烏帽子岳」を望む
烏帽子小屋-前烏帽子岳:CT片道約20分

烏帽子小屋から烏帽子岳は約45分


樹林帯を抜け、ハイマツ帯を登ります。烏帽子岳方面はすでに雲が広がり、徐々にガスが・・・

「前烏帽子岳」到着
前烏帽子岳からの烏帽子岳は・・・

美しい!!
ガスに覆われる前に見れました。岩の突き上げ感がすごい!山頂に人が立っていて、巨岩具合がよくわかる。烏帽子岳までは、前烏帽子岳からいったん下り、登り返します。
烏帽子岳の奥に、何やら素敵な雰囲気が漂う場所が見えました。おそらく、すれ違いの方に聞いた庭園のような場所。地図には「四十八池」と記載されており、烏帽子小屋でもお散歩コースとして紹介されていました。
しかし、すっきり晴れていた秋空にはガスが広がってしまった。今日、烏帽子岳と四十八池に行ければ、明日は早めに下山しようと思っていましたが難しそう。せっかく教えていただいたので、明日行ってみることに。
1時間くらい烏帽子岳を眺め、ガスがかかり、寒くなってきたところで戻りました。


道脇に、一人分のテントスペースもチラチラあります。
結局何張だったかはわかりませんが、数張り分空いていました。水晶岳に寄っても大丈夫だったな、と少し悔しく思いつつ、高瀬ダムへ下山にならなくて良かったと安堵。
日本が誇る山岳地帯、稜線ごとに顔がある。次回は昼寝ができるくらいの余裕をもって、絶対また歩こうと思う、とても素晴らしい、美しき裏銀座縦走でした。
明日は、北アルプス三大急登であり、日本三大急登でもある"ブナ立尾根"を通って高瀬ダムへ下山します。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
\ この記事がお役に立ちましたら /
よろしければ、応援よろしくお願いいたします。
コメント
噂にたがわず素晴らしい稜線漫歩!コロナ禍で小屋もテン場も予約制が多い。これって実質的に入山規制ですよね。テント泊する人が多くなったのは個人志向と装備の軽量化に依るのでしょうが、早いもの勝ちの椅子取りゲームみたいで恐ろしい。色んな意味で昔の山の方が良い面もあったみたい。
蓮華岳から烏帽子岳への縦走路は、藪と崩壊地の果てしないアップダウンとかで、夏にでかけた職場の寮友が、疲れ切って二度と行くものか、と言葉少なくボヤいていました。美しい所もあるのですね。