2020.7.20-7.21
歩き人たかちです。
昨日は鳩待峠から入り、ヨッピ橋周辺でニッコウキスゲを堪能して燧小屋に泊まりました。
2日目は、燧ヶ岳の裾を通り尾瀬沼方面へ。尾瀬はすべて美しいですが、この尾瀬沼もまた一入。大きな沼を周って大清水へと下山します。
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7月20日
鳩待峠ー山の鼻ビジターセンター ー牛首分岐ーヨッピ橋ー東電小屋ー東電分岐ー燧小屋
▲コースタイム:3時間30分
7月21日
燧小屋ー白砂峠ー沼尻ー長英新道分岐ふふー長蔵小屋ー尾瀬沼ビジターセンターー尾瀬沼山荘ー三平峠ー一ノ瀬ー大清水
▲コースタイム:6時間10分
靄から始まる。燧小屋ー長蔵小屋
*燧小屋ー白砂峠ー沼尻ー長蔵小屋:CT 3時間25分*
4時起床。今日は雨予報でしたが、雲が淡いピンク色に染まっていて、悪くはなさそう。
昨日注文した大きなおむすびの中には鮭、昆布、梅干しの3種類の具が入っています。お味噌汁を入れてみんなで朝ごはん。3種類を詰め込むのもいいですね、すごく美味しい。
朝靄を見に人が出ていました。幻想的。尾瀬ヶ原だけなら日帰りもできますが、尾瀬といえば朝靄。"白い虹"とかも有名ですが、やっぱり尾瀬はまったり泊まるのが素敵です。
木、草、花、土、水…自然の香りが混ざった、スッキリした空気を肺にいっぱい入れて、尾瀬沼へ向かいます。
あちらこちらで鳥たちが「おはよう!」と挨拶しています。大合唱。でもどんなに近くで鳴いていてもなかなか姿は見えない…。
水芭蕉の葉っぱも大分成長しています。
双眼鏡での観察を楽しみにしていた父は、まだ昨日ホオアカを見たのみ。湿原はわかりやすかったですが、森はやはり難しい…。
今日も、いや、今日の方がギンリョウソウ祭り。
尾瀬沼まで燧ヶ岳の裾野をなぞるように歩きます。全体的に平坦でとても歩きやすいです。
根っこが岩を掴んでいる木、根っこが一緒になってしまっている木、いろんな種類が着生している木、幹がねじれている木、森の共存している様をまじまじと眺めながら歩きます。
筋肉みたい。
しばらく歩くと、ちょっと曲がり角のようになっている真横の笹が大きくガサガサガサ…ワッサワッサガッサガッサ揺れました。
ドキッとして静かに後退。少し離れて手を叩いたり鈴を鳴らしたりして存在をアピール。姿こそ見えませんでしたが、おそらく熊。小動物のガサガサは何度も経験しましたが、規模がまるで違いました。
笹の向こうは緩い下り坂になっていたので、そっちの方へ逃げたようです。今まで熊に遭遇したことがないので、このガサガサに大分心臓がやられました…。こんな感じなのか、恐ろしい。
4人もいるからと安心していましたが、人が少ない今、野生動物と遭遇しやすくなっています。動物の棲家にお邪魔させていただいている意識をしっかり持たないといけませんね。失礼しました…と気持ちを切り替えます。鈴も鳴らして。
途中にテラスのある湿原に出ます。ここはすごく好きな場所。静かで、池塘が鏡のように美しくおすすめのスポット。物思いに耽るのに最高…
テラスまでくれば尾瀬沼もすぐ。一気に視界が開けて広大な沼が現れます。この日は風もなく、波が立たないので周辺の山や植物が綺麗に映し出されていました。
ジブリ作品の"思い出のマーニー"に出てくる釧路湿原のような雰囲気で、こんな場所でボートかカヌーを漕ぎたい…。
昔はここでボートに乗れたそうです。母が群馬の出身で、何十年も前に尾瀬沼に来た時の写真を見せてくれました。本当に尾瀬沼にボートが…と、今では信じられない光景でした。
ビジターセンターまであと4.3km。1時間弱歩くと、山吹色が急に眼に飛び込んできました。大江湿原です。ニッコウキスゲ!
大江湿原では花と花が密に咲いていて、昨日のヨッピ橋付近よりも全体が濃い。「蜜!蜜!」と言いたくなる。
ここも防鹿柵で囲んでいますが、範囲が広いので柵の存在が気になりませんでした。沼山峠方面から歩いてくる人が多く、今や、尾瀬のニッコウキスゲといえば大江湿原なのでしょう。熊のことも忘れて大はしゃぎ。ちょうど見頃で最後に堪能できました。
ビジターセンターに到着し、長蔵小屋の売店で珈琲を嗜もうとしましたが、今は冷たい飲み物しか提供がないとのこと。残念ですが、お土産を見てトイレ休憩。
長蔵小屋の売店は可愛い山グッズがたくさんあるのでおすすめです◎
峠を越えて。長蔵小屋ー大清水
*長蔵小屋ー尾瀬沼山荘ー三平峠ー一ノ瀬ー大清水:CT 2時間45分*
長蔵小屋を後にして尾瀬沼山荘へ。
途中には、尾瀬沼と燧ヶ岳を綺麗に眺められるテラスがあります。この日燧ヶ岳は見えませんでしたが、残りのおむすびを頬張り下山に備えます。結局雨にも降られず、太陽は出ていませんが気持ちの良い湿原歩き。
尾瀬沼山荘の無料休憩所は閉まっていました。トイレは使用可。ここが最後のトイレ休憩になり、尾瀬沼ともさよなら。
ここから三平峠まで緩く登って、一気に下山します。木道はだんだん無くなり、普通の登山道になっていきます。一ノ瀬までは1時間程で、途中水場が一箇所ありますが飲用には適していないとの文言がありました。冷たくて美味しかったで(自己責任)。
大清水への下山は途中階段も多く、鳩待峠と比べるとこちらは登りも下りも結構大変。鳩待峠の歩きやすさが身に沁みますが、登山の感覚は大清水の方が強い。
頑張れー頑張れーなんて応援しながら歩いて、どんな道だったか全く写真を撮っていませんでした。備忘録の意味…
大分下りてきて一ノ瀬ももうすぐ。
一ノ瀬から大清水までは、乗合タクシーも運行しています。しかし、そのまま広い林道を1時間程歩いて大清水へ。下山するとあれほど鳴いていた鳥たちが、ピタッと鳴きやみ、たまに聞こえるくらいになりました。鳥たちも暑いのか、まだ標高1000m以上だけど…
無事に大清水に着いて、花豆ソフトを頬張りながら戸倉へのバスを待ちます。
7月の尾瀬は初めてでしたが、今回は風もなく、ウィンドシェルすら使いませんでした。以前6月に来たときは残雪もあり、ダウンを着ましたが今回は全然寒くなく、両親もほとんど防寒着を使わず。尾瀬は基本寒いか涼しいですが、朝もひんやりする程度で終わってしまった。
今回は、近くで宿泊して帰ろうというゆっくりプランで近くの宿へ。
尾瀬の近くの「風集紀」
チェックインまで時間があったので、2年前にできたという"道の駅尾瀬かたしな"へ寄り道。
村役場のすぐ隣にあり、群馬名物、片品名物の野菜や蜂蜜、お菓子、工芸品がたくさん売られています。食事ができる「かたしな食堂」と軽食がいただける「村民キッチン」もあり、外には足湯もあって熱々の湯で足の疲れを癒せます。平日にも関わらず賑わっていました。尾瀬や温泉などに来た際には、ぜひ。
15時になり宿へ。お世話になったのは"風集紀"。
伝えていた時間より早かったので、宿のご夫婦は不在で、代わりに小学校6年生の娘さんが対応してくれました。畑もやっているので忙しいのでしょう。驚くほどしっかりした娘さんで、宿の仕事をよく手伝っているようです。
ロッジのような素敵な宿で、自由な雰囲気が実に良い。おじいちゃん、おばあちゃんも畑で仕事をしていましたが、元気で面白い。90近いお歳ですが、「おらあ、やることがいっぺいある」と常に動いていました。いくつになっても"やることがある"とは素敵なことです。私のおばあちゃんも90を過ぎても畑仕事していたなあ。
先にお風呂入らせていただくと、丁度ご主人が帰宅。少しあとに奥様も帰宅。明るくて、人柄の良さが滲み出ているご夫婦です。ご飯が18時~19時とのことで、壁や階段にある昔の尾瀬の写真を見たり、雑誌を読んでだり、散歩したり。
おじいちゃんが「今年は温い」と言っていました。宿は標高850m前後ですが、少しムシっとした感じ。でも朝晩は非常に涼しく、1枚羽織らないと寒いくらい。部屋にクーラーはなく扇風機が置いてあったのみですが、夜も暑ければ少し窓を開ければ十分なほど。羨ましい…。
「ごはんが美味しい!」と評判でしたが、美味しすぎた…!!!
魚のホイル焼き、スペアリブ、瑞々しいキュウリとサラダ、群馬で有名な永井食堂のもつ煮、鹿のユッケ、フランスパンにいろんなものが乗ったやつ、ごはん、みそ汁…
食べきれないほどの美味しすぎる料理の数々。これは評判になる訳で…自分の畑で収穫した野菜もふんだんに使われ、中でもキュウリが今まで食べたキュウリの中で一番美味しかったです。こんなに水分たっぷりのキュウリはなかなかありません。
朝ごはんももちろん美味しくて、群馬名物のみそパン、片品名物「花豆」のパン、サラダ、ベーコン、スクランブルエッグ、スープ。ヨーグルトとトウモロコシがあとから。
「トウモロコシは今年初採れです」と言われたが、めちゃくちゃ甘くて美味しい!置いてあったオレンジジュースも珈琲も最高に美味しい。「美味しい」しか出ませんでした。
昨日の夜あれだけいろいろ食べたのに、朝になってまた食べている自分にびっくり。家では「あー暑い、食欲ない…」とスムージー程度で終わらせてしまうのに、美味しい野菜があるのは素敵ですね。自分の食べるものを自分でつくる理想の暮らし。
朝ごはんの途中でご主人が「仕事に行くのでこれで失礼します」と。宿の仕事もやり、外の仕事もやり、働き者のご夫婦。
大満足でごはんを終える頃にはお子さんが、「スクールバスがくる!」と急いで準備して学校へ行きました。帰りにはキュウリと大根のお土産までいただいて…これがまた美味しかった…。
人柄が溢れて、ごはんが最高に美味しくて、のんびりできる「風集紀」。尾瀬の前泊、後泊、スキーの時期など、おすすめです!!
*ペンション風集紀*
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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