2023.6.17-6.19
1日目:土合橋-白毛門-朝日岳-清水峠
2日目:清水峠-谷川岳-大障子避難小屋
★3日目:大障子避難小屋-仙ノ倉山-平標山-平標山の家-平標登山口
歩き人たかちです。
縦走3日目。昨日は馬蹄形のハイライト、清水峠から茂倉岳、谷川岳の大きなアップダウンを経て谷川主脈に入りました。主脈で一番大きな避難小屋の大障子避難小屋で1泊。
最終日の今日は仙ノ倉山に向けて谷川主脈を歩き、平標山まで続くお花畑を楽しんで下山。馬蹄形とはまた違う稜線歩き。そこには、ディープな谷川がありました。
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天気:ガス → 晴れ ☀︎
気温:朝7℃ → 平標山11℃
風:北西4〜5m/s
大障子避難小屋-大障子ノ頭-▲万太郎山-越路避難小屋-エビス大黒ノ頭-エビス大黒避難小屋-▲仙ノ倉山-▲平標山-平標山の家-平標登山口
▲ コースタイム:8時間
▲ 歩行距離:14.9km
▲ 累積標高差:+1080m
-1793m
ディープな主脈[ 大障子避難小屋-仙ノ倉山 ]
大障子避難小屋-大障子ノ頭-万太郎山-越路避難小屋:CT2時間5分
一緒に泊まったお二人は、3時頃起きて3時半に出発。日の出も早いしもう起きるかと目を開けたものの、なんか視界が狭い。腫れぼったい。2日間ブヨに刺されまくった顔がパンッパンに腫れていました・・・瞼だけは死守したつもりだったけど両瞼しっかりやられていて、誰ですか?というフルボッコの顔に。
これだからブヨは・・・(防虫ネットを忘れた自分が悪い)。下山後、眼科へ直行する羽目になりました。帰宅後に数えてみたら、顔から首まで少なくとも30箇所は刺されているというありさま。トンボが飛び出すまではご注意を。
幸い人はほとんどいないので、酷い顔も気にせず出発。外はガスでしたが、避難小屋周辺に集中的にガスが流れていたようで、少し登ると白い世界から抜けました。
馬蹄形の山々から日が昇る。なんて美しい朝だろう。そういえば、谷川で朝日を見るのは初めてだ。刻々と変わるガスと雲と空の色。朝と夕は、特別で格別な山の時間。
朝露に足を濡らしながら、避難小屋からすぐ先の"大障子ノ頭"に到着。
正面には"万太郎山"がどっしりと構えている。朝ドラの影響で"万太郎"という名に親しみを感じてしまう?まずはここのアップダウン。
大障子ノ頭からの下りは滑りやすい。昨日までは馬蹄形の延長という感じでしたが、この先から雰囲気が変わった印象です。谷川のより深い部分に入り込んでいく空気間がありました。
ガスはどこからともなくやってきて絶え間なく流れている。稜線はくっきりしたり、もやっとしたり、真っ白になったり。仙ノ倉山は朝から晴れ予報だったけど、この山域はそんなにうまくはいかない。
万太郎は割と急で、そんなに優しくない。馬蹄形から続いていた笹道はいつの間にかバリエーション豊かな草道になり、ガサガサと登っていく。朝露で腿から下はずぶ濡れ。靴の中には草いっぱい。
大障子ノ頭が小さくなっていく
朝一の大きなピーク、万太郎山に到着。なかなか大きい山でした。昨日の主脈はあんなに暑かったのに、今日はガスと風のコラボで寒い。暑くて文句を垂れていたくせに、今はその暑さが恋しい・・・人間ってほんと、ねえ。
万太郎山は寒いので、先の"越路避難小屋"を目指す。万太郎山の西斜面は東斜面ほど急ではないですが、細くて狭いヤセ尾根です。ハイマツとかシャクナゲとか草が多い茂って高度感は大してないですが、落ち着いて見ると結構切れ落ちているところも。足元は岩とか枝でガタガタなので、転倒にはご注意を。
ヤセ尾根を抜けると歩きやすい笹道になり、ガスの先に越路避難小屋が見えました。
同じみのかまぼこハウス。ここまでのかまぼこの中で一番綺麗でした。扉はちょっと強めに閉めないと締まりませんでしたが。
小窓があり、簀子もガタついていなくて綺麗。昨日はあわよくばここまでと思っていましたが、暑さに負けてやめました。5人定員ですが、快適なのは2〜3人。
谷川岳のアルバムが置かれており、90年代の古い写真も。この避難小屋なんだか居心地が良くて、アルバムを見ながらしばし休憩。
お花畑[ 仙ノ倉山-平標山 ]
越路避難小屋-エビス大黒ノ頭-エビス大黒避難小屋-仙ノ倉山-平標山:CT1時間30分
避難小屋に根が張りそうになったところでガスの中へ飛び出す。ここから最低鞍部まで下り"エビス大黒ノ頭"へ登り返します。
最低鞍部からまずは小ピークへ。この先にエビスが待ち構えている。
まだすれ違いは0。人が歩いているのかいないのかわからない、静かでディープな谷川主脈。
谷川岳は春夏秋冬好きな山で、特に冬は毎年訪れている。それでも、歩いていたのは地図上のほんの一部で、馬蹄形から主脈を繋ぐことでその広さと深さを感じる。
祖母の家が近いため、幼い頃から"谷川岳"を刷り込まれてきた。物心つく前から頭の中に谷川岳があって、だから好きなのかと思っていたけど、たぶんそうではない。厳しい環境に険しい地形だけど春夏秋冬歩くことができて、人を拒んでいるようで拒んでいない。
「谷川が綺麗に見える」
「谷川に雲がかかった」
「谷川に雪が降った」
山と人が繋がっている。自然と暮らしが寄り添っている。私はたぶんそんな谷川岳が好きで、そういう自然が好き。祖母と母がずっと見てきた谷川岳はこんな山だったんだと、やっとわかった気がした。
今日は谷川岳もガスっている
ガスだと朝露も乾かず。靴の中にはいろんなクズが入ります(スパッツ嫌い)。
ディープな谷川を味わいながら"エビス大黒ノ頭"に到着。すると、平標山方面から男性が1人。土合の方から歩いてきて昨日はエビス大黒避難小屋で1泊、平標山まで行ってきて土合の方に戻るらしい。でも、もっと東の方まで行くかもとのこと・・・土合の東に登山道なんてあったっけ?と地図を広げるも特にない。どこだろ〜と思っているうちに男性はスッと去っていた。不思議な人だった。
エビス大黒ノ頭から岩場を下り"エビス大黒避難小屋"に到着。恒例のかまぼこチェック!と思ったら、扉が異常に重い。鉄の塊か?みたいな。昭和感のある文字は好きだけど。
中は一番古い感じでした。簀子は腐ってバキバキッと。物干し用のロープが張ってあり、エマージェンシーシートが掛けられていました。定員は3人ですが、2人でもちょっとキツめな感じ。知り合いとならいいけど、初めましての人とは結構キツいな。
最後のかまぼこをあとにして、ラスボスの仙ノ倉山へ。ここを登ってしまえば、お花畑をルンルン歩いて平標山。
人気の仙ノ倉山だけあって、とても登りやすい道。谷川主脈で一番ディープだったのは万太郎山周辺でした。
上の方ではハクサンイチゲがお出迎え。避難小屋で一緒だったお二人が「平標山の花はもう終わりだね〜」と言っていましたが、ハクサンイチゲもすっかり首を伸ばして確かに終わり。ほんの1,2週間のために長い冬を越えて虫たちにアピールしている。健気で、逞しくて、愛おしい。
賑やかになってきたところで"仙ノ倉山"に到着。結局ガスのままで、360度の展望はお預け。こちら側からの主脈を一望したかったけど、またの機会。
そのまま平標山へ。この2座の間はお花が咲き乱れていて、緩やかに歩きます。
平標山に近づくほどに人もお花も増えていく。
ハクサンコザクラも色を濃くして、花びらがちぎれている。馬蹄形の方は見頃だったけど、こちらはやはり終盤。
新潟のガイドさんが「今年もまた花が減った」と言っていた。その主な原因は"踏みつけ"によるもの。
すれ違いのとき、登山道から一歩外れる。その一歩が積み重なって、登山道が広がる。一歩ならまだしも、避けた場所から登山道の縁を歩いてしまうことが問題で、それによりお花の咲く場所がどんどん後退しているとのこと。あるいは写真を撮るとき、つい一歩前に踏み出してロープの中に足が入り込んでしまったり。
「なんか急いでいる人もいるけど、登山道から外れないでほしい。登山道の縁を歩かないでほしい」
そう仰っていました。毎年同じ時期に、何度も歩かないと微妙な変化はわからない。うわあ、綺麗!と思っている傍で、深刻な顔をしている人もきっといる。舗装道や林道でも斜面に咲いている花を撮ろうとするけれど、そのために踏み込んだ足元にはこれから咲こうとしている何かがあるかもしれない。
山が、自然が好きなら一歩我慢
そんな気持ちを忘れないようにしないとな。
平標山に到着。今回もガスだわ・・・
平元新道[ 平標山-平標登山口 ]
平標山-平標山の家-平標登山口:1時間50分
ガス待ちをするか、平標山ノ家でゆっくりするか・・・下りました。晴れそうな気もするけど、まあ、いいか。
木段をどんどん下っていると、青空に突入。いつも通り、山頂付近以外は晴れているらしい。
夏だなあ・・・
青空になると暑さが戻ってきて、ウィンドシェルが一気に蒸れる。少し前までディープな谷川主脈にいたのに、人里に戻ってきた気分。
平標山の家に到着して下山前の大休止。ここの"スパイスカレー"を食べてみたいけど金土日の限定15食、予約制です。平日登山派の人は金曜日を狙いましょう。いつか食べられるかな・・・
私のおすすめは"自家製ジュース"。これがさっぱりしていて美味しいのです◎
平標山も仙ノ倉山もすっかり晴れました。ガスりやすい山域とはいえ、前回も木段の途中で晴れたよな。相性悪いのかしら。
営業小屋のお隣は立派な避難小屋。1泊¥2,000(予約なし)で泊まれます。窓からは稜線が見えていい感じ。テント場は居心地よいのですが広くはなく、テント場は混んでるけど避難小屋はガラガラなんてこともあるので、そんなときは利用するとよいです。
平標山から"松手山コース"と"平元新道"どちらで下るか悩みましたが、平標山の家に寄りたくて平元新道にしました。平元新道はほとんど階段ですが、段差は低めで歩きやすいコース。林道歩きが1時間ほどありますが、サクッと下りたい場合はおすすめです。
自家製ジュースの他、もう一つのお目当ては"仙平清水"。この清水が冷たくて美味しい!縦走の締めくくりに思う存分飲もうと思っていましたが、生き返りますなあ・・・
ゆっくり1時間ほど休憩して下山へ。ずーっと階段で、トントントントン・・・リズミカルに下る。
階段が終わり、傾斜が緩んでカラマツ林になると林道はもうすぐ。秋も綺麗でしょうね。
林道に出て、初夏の爽やかな風とグリーンシャワーを浴びながら。
途中からは舗装道になり、そのまま歩いても駐車場には着きますが、ここから先は別荘地となっているため沢沿いの登山道へ案内されます。
この沢沿いがまた気持ちがいいこと。途中に水場もあります。
バス停「平標登山口」は、駐車場から5分弱歩いたところ。長い稜線の縦走、群馬と新潟の県境を歩いてきました。しかし、それでも"ぐんま県境稜線トレイル"の3分の1くらい。このトレイルは100kmの稜線トレイルです。
海外では独立している山が多いためピークハントが主体ですが、日本はいくつものピークを繋げて歩くことができます。高い山の麓をロングトレイル(ハイキング)することはできるけど、ピークを踏みながらロングトレイルできるというのは日本の山の特徴でもあります。縦走路がたくさんあるからこそ、日本の山はできる限り縦走したいなあと。
ブヨに刺されたら・・・
気分良く馬蹄形〜谷川主脈の縦走を終えたものの、ブヨに刺されまくった顔はボッコボコ。サングラスを外すのに躊躇しましたが、バスの中までサングラスをしているのはちょっと怪しい・・帽子を深く被り、ヤケーヌをして目の下を隠す。瞼に加え、涙袋も腫れて本当にえげつない顔になっていました。
地元に到着してそのまま眼科へ直行。ブヨに刺されたときは眼科か皮膚科へ。しかし、眼科では眼圧とか視力とか、別にいいんだけど・・・という診察があるので、皮膚科の方がスムーズだと思います。
他の虫刺され同様"ステロイド軟膏"を処方してもらいます。市販薬で"眼の周りに塗れるもの"は基本的にないため(知っている限り)、眼元をやられた場合は病院に行くのが最善。ブヨは、すぐには治らないので・・・
処方箋なしで購入できる眼軟膏として"プレドニン眼軟膏"がありますが、薬局で医師と相談の上購入するようです。
眼科で処方してもらったのは"デキサメタゾン眼軟膏"というもの。
ステロイド軟膏には「ウィーク→ミディアム→ストロング→ベリーストロング→ストロンゲスト」と、5段階の強さがあります。
顔(眼)用なので強さは"ウィーク"ですが、目に入っても大丈夫とのこと。3日目の朝から瞼の腫れが引いてきて、4日目の夕方にはほとんど元通り。刺されまくったおでこの痕は1〜2週間赤みが残りましたが、無事完治。
ブヨのことを調べると"リンデロン"というステロイド軟膏の名前をよく見ますが、リンデロンは"ストロング"という強い軟膏。「顔面には広範囲に使用しないでください」となっていますが、目および目の周りには使用できません。粘膜に入ると大変なので。
先月マダニで皮膚科にお世話になったばかりなのに、また病院行きで今年は散々です。蚊やアブもどんどん出てくるし、季節に関わらず防虫ネットは持ち歩こうと反省しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
よろしければ、応援よろしくお願い致します。
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