2023.7.8(土)
1日目:東京→札幌→清里町
2日目:▲ 斜里岳
★3日目:▲ 羅臼岳
4日目:ウトロ → 阿寒湖
5日目:▲ 雌阿寒岳
6日目:ウポポイ → チロロ林道
7日目:▲ 幌尻岳
8日目:富良野観光 → 倶知安
9日目:▲ 羊蹄山
10日目:天候が回復せず帰宅
歩き人たかちです。
北海道の山旅3日目。昨日は、天気に翻弄されながらも斜里岳のプチ沢登りを楽しみました。お会いした方が木下小屋まで車に乗せてくださり、北海道一のヒグマ密集地帯へ。
今日は、知床にある百名山の羅臼岳。ヒグマに遭うか遭わないか、晴れ予報は当たるのか・・・いろんなドキドキを抱えながら、深い山を森を歩きます。
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天気:曇り・ガスところにより晴れ
気温:山頂13℃
風:西北西8m/s
木下小屋ーオホーツク展望台ー650m岩峰ー弥三吉水ー仙人坂ー銀冷水ー大沢入口ー羅臼平ー岩清水ー▲ 羅臼岳ー岩清水ー羅臼平ー大沢入口ー銀冷水ー仙人坂ー弥三吉水ー650m岩峰ーオホーツク展望台ー木下小屋
▲ コースタイム:8時間20分
▲ 歩行距離:15.4km
▲ 累積標高差:+1534m
-1534m
岩尾別温泉コース概要
登山道は全体的に歩きやすく、大沢と山頂手前の岩場を除いて急坂はそれほどありません。比較的登りやすいと感じましたが、雪の重みで木が登山道側に倒れているため、足元や頭上は常に注意。片道8kmでコースタイムは8時間超。標高差も1500mを超えるため、日帰り登山としては長めです。
大沢までは樹林帯で、ところどころヒグマの出没頻度が特に高い場所を通ります。樹林帯でヒグマが7月に主食としているのは"アリ"。オホーツク展望周辺にはアリの巣が多いため、このあたりは出没頻度高め。自分は遭遇しませんでしたが、先を歩いていたソロの女性はここで遭遇したとのこと。クマザサの中をガサガサ逃げていったそうです。
大沢の雪渓状況は年によります。例年、7月下旬頃まで軽アイゼンが必要ですが、今年は雪解けが早く、立ち入り禁止のロープ内に少し残っているのみ。拍子抜けするほど雪渓はありませんでした。そのため、チェーンスパイクはただのお荷物に・・・調査不足でした。
大沢の岩場を登るきると羅臼平。ハイマツ帯となり、徐々に岩場になります。上に上がるほど手足を使うような岩場となり、転倒による滑落も少なくないと小屋のご主人に伺いました。打ちどころによっては大怪我するため、天候の悪いときは特に要注意。山頂は狭いため、ここでもバランスを崩さないように。
クマスプレーは必要か?
北海道一のヒグマ密集地帯である知床半島。10km四方に30頭弱のヒグマが生息しているとされ、その密度はアラスカの約3倍だそうです(国の規模が違いすぎてピンとこなかった)。
ちなみに、昨年はブナの実などの堅果類が豊作だったため、今年は北海道も本州もクマが多くなっています。そして、2023年度はブナの実が3〜4年ぶりの"大凶作"だと予想されており、今年の秋はクマに要注意。
羅臼岳において"ヒグマを見た"というのは日常茶飯事ですが、人との接触事故は非常に少ない(ほとんどない)とのこと。「襲われそうになった」というのはその人の感覚次第で、見ただけで襲われそうに・・・という人もいると、小屋のご主人も仰っていました。距離や状況によっては威嚇ももちろんありますが、積極的に人を襲うクマは基本的にいないため至極稀なこと(里に出るクマには要注意!)。
クマスプレーは"最終手段"であり、使う確率は非常に低い。安心材料ではありますが賞味期限もあるし、頻度を考えるとコスパがとてつもなく悪いアイテム。山菜取りや渓流釣りなどでは携行した方がいいと思いますが、一般登山道の場合は・・・?
飛行機NGが面倒なので、今回も持ち歩きませんでした。その代わり、羅臼岳は人が多く入る土曜日に設定。ソロの場合はソロ同士でチームを組んだり、できる限り遭遇しない工夫を。
買うのはちょっと、でも心配・・・という場合は、知床自然センターや木下小屋でレンタル可能。その日限りの山の保険のような感覚で気軽に借りられるので、北海道の山だけ持ち歩きたい場合はレンタルが一番。札幌やヒグマが多い山域周辺のアウトドアショップ、宿などでもレンタルができます。今後、さらにレンタルの幅は広がるような動きもあるようです。
今回の山旅では、日高山脈の幌尻岳で遭遇。遭遇といっても姿は見ておらず、樹林帯をドスドス逃げていきました。樹林帯での遭遇が一番怖いですが、奥山に生息しているクマほど人間慣れしていないため、鉢合わせではない限り逃げてくれます。
対策も必要ですが、まずはクマの生態を知ることが大切。クマも人には会いたくないので、人間が適切な行動を取り、まずは遭遇しないための"予防"を↓
クマスプレーも種類がありますが、成分の強さや油性・水性などで対象のクマの種類が変わります。特に、ヒグマ対策で携行したい場合は要確認。安価で携行性がいいと「ペッパーマン」の小さいスプレーを持っている人が多い印象ですが、あれはツキノワグマ用でヒグマには力不足。また、ヒグマ用は強力なのでツキノワグマへの使用は推奨されていません。
カウンターアソールト
元祖熊撃退スプレー。知床自然センターでもレンタル用として取り扱われています。強力な「ストロンガー」タイプあり。効果や安全性が確認されていない偽物が出回っているようなので、必ず正規品を(使用期限の記載がないらしい)。
フロンティアーズマン
モンベルで取り扱いがあるため、旅先で購入したい場合も◎スプレーと同メーカーの「SEBRE」からは大音量の熊よけグッズである"ベアホーン"も出ています(こちらもモンベルでの取り扱いあり)。熊鈴だけでは心配という方向け。
ベアホーン
UDAP
米国の環境保護局(EPA)の登録品。日本では特に基準が示されていませんが、アメリカではEPAの登録品かどうかが、効果や安全性に対する一つの基準になっています。
羅臼岳の水場について
◾︎ 銀冷水(要煮沸・浄水)
◾︎ 岩清水(要煮沸・浄水)
岩尾別コースの水場は3箇所。地図ではすべて要煮沸となっていますが、木下小屋のご主人曰く"弥三吉水だけ生でも飲める"とのこと。
弥三吉水
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一番最初の水場。弥三吉水は湧き出しているポイントのすぐ近くに樋をつけているため、キタキツネなどの影響を基本的には受けていないとのこと。「心配なら浄水を」程度とのことで、そのまま飲みました。すごく柔らかくてほんのり甘く、今まで飲んだ山水ではかなり上位◎
銀冷水
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銀冷水は地面を流れているため、要煮沸・浄水。弥三吉水のあとだと、「え?これ汲むの?」みたいになります。弥三吉水で汲むのが圧倒的におすすめ。
岩清水
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山頂へのラストの登りの途中に分岐があります。登山道脇ではなく分岐から少し下るため、確認はしていません。雪渓の水場のため枯れやすいとのこと。こちらも要煮沸・浄水。
羅臼平などでテント泊する場合も、自分なら頑張って弥三吉水から担いでいくなとうほど、弥三吉水がいい水場でした。
前泊の宿「木下小屋」
羅臼岳の登山口には"ホテル地の涯"と"木下小屋"があります。
国立公園の関係で、羅臼岳は登山口での車中泊がNG。ヒグマ密集地帯ということもありゴミの管理は厳格ですが、悲しいことに、中には食べ物のゴミを隠すように捨てていく人がいるようです。そんなこともとあり、車中泊は禁止になっているとのこと。
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ログハウスのかわいい木下小屋。ウサギがいます。素泊まりのみの1泊¥2,500で、寝具も持参。こじんまりしていて、山好きにはぜひ泊まっていただきたい素敵な小屋。
ご主人は元々関東の方で、今年8年目とのこと。以前からお手伝いされていたようですが、サラリーマンを終えて本格的に小屋入りしたそうです。丸太小屋を建ててみたくて、この山小屋の建て直しにもご主人が関わったとか。楽しいお喋りもしてくれるし、マナーが悪ければしっかり叱ってくれる。とても良いご主人でした。
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見た目も空気感も山の小屋丸出しという感じで、とても素敵です。食事は入ってすぐのこのスペースで。自然と山談義が始まります。
ご主人作。窓際に置かれた石はアート作品でした。時間のあるときに趣味で描いているということですが、これがものすごく上手い!写真では伝えきれませんが、色使いがとても繊細で実物を見ていただきたい。
今までに500個(だったかな?)くらい制作したようですが、人にあげたりなんだりで現在は窓際に並べられているものがすべてとのこと。虫とか鳥とか、販売していたら買いたいくらい素敵でした。
小屋の水道は湧水なので飲用可。
この日は宿泊者が8人。男女別で部屋を分けてくれました。1部屋5〜6人程度の広さです。
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お風呂のすぐ前にある桜の木に最近よくヒグマが来ているということで、暗くなってからは入らない方がいいと言われました。同じ個体がさくらんぼを食べに来ているとのこと。音を出しても逃げなくて、ちょっと人間慣れしているそうです。
ホテル地の涯とは泉質が違うとのこと。また、ホテルから森の中を5分くらい歩いたところには"三段の湯"と"滝見の湯"という野湯があります。どちらも無料で入れますが、脱衣所はなく、完全な混浴なので女性は水着が必要(水着着用OK)。ホテルでは日帰り入浴もできますが、内風呂は男女別、露天風呂は混浴とのこと。
小屋前の水場は沢水なので飲用不可。トイレは外の小屋で、男女別で個室が分かれています。この時期蚊が多くて、外に少しいるだけでだいぶ刺されました。虫除けがあるといいと思います。
木下小屋
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獣の樹林帯[ 木下小屋ー弥三吉水 ]
木下小屋-オホーツク展望-650岩峰-弥三吉水:CT1時間50分
5:00、木下小屋出発。ヒグマ対策も兼ねて、昨日車に乗せていただいた方と一緒に登ることにしました。その方は小さいクマスプレーを常備。
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大沢までは鬱蒼とした樹林帯を登っていきます。風が通らず、朝から蒸し暑い。土曜日で人は結構入っているものの、片道8kmとなれば人と人との間隔はそこまで狭くならず、前後には思ったほど人がいなくて静か。
周りを見るといかにもヒグマがこちらの様子を窺っていそうな雰囲気。熊鈴の音色もよく響く。
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そんな深い森を淡々と登っていくと"オホーツク展望"に到着。木々の新芽がなくなったこの季節、ヒグマは"アリ"を主食としています。あの巨体でアリなんてかわいいなあ〜なんて思ったり。
オホーツク展望周辺はアリの巣が多くヒグマの出没頻度が高いとのことで、小屋のご主人からも気をつけるように注意を受けていました。ちょっと休みたくなるようなポイントですが、確かにアリが多かったです。自分たちよりも少し先を歩いていたソロの女性は、このポイントでヒグマと遭遇したとのこと。やっぱりいるのね。
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「アリいっぱいいますね〜」と話しつつ、そそくさと650m岩峰。
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雪の重みで湾曲している木々。登山道側に倒れているものも多いため、跨ぎ、くぐり、たまに頭ゴチンしながら前へ進む。植生とか森のようすが本州とはまた違いますね。
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傾斜が緩くなったところで"弥三吉水"に到着。平なスペースもあり、テント場にもなっています。
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弥三吉水は唯一そのまま飲めるという水場。心配なら浄水を。これが冷たくて、柔らかくて、ほんのり甘い・・・めっちゃうまい!他の山水とは明らかに違うような甘みと柔らかさでした。
羅臼岳まではまだまだ序盤。まだまだ深い森を歩いていきます。
お花畑[ 弥三吉水ー羅臼平 ]
弥三吉水-極楽平-仙人坂-銀冷水-大沢入口-羅臼平:CT2時間5分
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弥三吉水からしばらく緩やかな樹林帯。北の大地の、自然環境が厳しい森の植生はアート。もがきながら逞しく生きているパワーを感じます。
岩尾別コースはメジャーコースということもあり、登山道はとても歩きやすい。10年ほど前に大雨で崩れたようですが、整備されて以前に増して歩きやすくなったそうです。一緒に歩いた方は、以前羅臼温泉の方から登ったとのことですが、人が全然歩いていなくてとにかく怖かったと。羅臼温泉側から1人はちょっと無理だなあ・・・
極楽平を過ぎると仙人坂がはじまります。傾斜がぐっと上がりますが、ジグザグに登るのでそれほど急ではありません。
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"銀冷水"に到着。ここは弥三吉水のように樋があるわけではなく(たぶん)、地面を流れているため要煮沸・浄水。弥三吉水の方が圧倒的にいいですね。
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弥三吉水同様こちらにもテント場がありますが、この森で寝る勇気はない。それなら羅臼平のひらけたテント場の方が断然いい。
銀冷水のぽいんとには、携帯トイレブースがあります。岩尾別コース唯一のトイレスポット。
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チシマノキンバイソウ
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銀冷水からさらに上がっていくと、樹林帯がひらけて"大沢"に到着。ここは例年、7月下旬頃まで雪渓ポイントとなっており、チェーンスパイクや軽アイゼンが必要ですが・・・雪渓が全然ない。拍子抜け。
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上部の立入禁止のロープ内に少し残っているだけでした。まだ上旬なので普通にチェーンスパイク使うと思っており、雪渓の状態を詳しく調べていませんでした。ただのお荷物だったあ・・・
下山後小屋のご主人に聞くと、今年は雪解けがかなり早かったそうです。特別雪が少なかった訳ではないそうですが、春以降の気温が高く、とけるスピードがすごかったらしい・・・
大沢には高山植物が咲き乱れているため、ヒグマ頻出ポイントでもあります。"食事中のクマがなかなか動いてくれなかった"という情報も多い場所です。
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ヤマテンでは、今日の羅臼岳はぴーかん予報。しかし、太陽全然出てこない。岩を上がりつつ振り返る。オホーツク海が綺麗に見えるスポットですが、ガスでぼんやり。
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エゾツツジ
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雪渓もヒグマも問題なく、お花を楽しみながら"羅臼平"に到着。ここからも海が見えて、山頂どーん!のはずですが、まっしろしろ〜。昨日斜里岳を登っていたお兄さんもいて、みんな晴れ待ちの休憩。羅臼平のテント場は広々していて、よさげ。ここはちょっと泊まってみたい。
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ハードロッカーもしっかりあります。開けてみると、スタッフバッグかいくつか入っていました。20分〜30分待機しましたが晴れる気配はなく、風も寒いのでゆっくり山頂へ。
岩場[ 羅臼平ー羅臼岳 ]
羅臼平-岩清水分岐-羅臼岳:CT1時間
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メアカンフスマ
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ハイマツ帯をズンズンズンズン。今日もホシガラスがビューンと飛び立つ。
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ハイマツを一旦抜けると"岩清水"の分岐。ガスで分岐の先がどうなっているのかわかりませんが、水場はちょっと下るとのこと。
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イワウメが、まさに岩梅という咲き方をしている。素敵。
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イワヒゲ。可愛らしい花なのに、葉が髭みたいだからそんな名前。確かにモジャモジャしてはいるけど・・・
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分岐の先は岩場が激しくなっていきます。徐々に手足を使いだす。ここでの転倒や滑落事故は少なくないようで、下りは特に気をつけるようにとご主人に指南されました。
あーやばい、着いてしまう・・・そんな気持ちで登っていく。
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羅臼岳着いちゃったーーーーーー◎
登頂!ではなく、着いちゃったーーー!という気持ちが大きかった羅臼岳。それほどまでに、山頂からの知床連山と海景色を楽しみにしていました。今日も自然に翻弄されるちっぽけな人間だった。
山頂に着くと、8〜10m/sの北西の冷たい風が勢いよく吹きつけてくる。羅臼岳は基本的に風が強く、海に聳える山なのでガスを纏いやすい。しがみつくように10分ほど滞在して下山へ。
木下小屋へ下山
往路下山:CT3時間25分
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晴れないのか?昨日みたいにまた下山中に晴れるんじゃないか?待ちたい気持ちと行動が合わなくてギクシャク下る。
何でもいいから希望がほしくて、登りで会ったグループのガイドさんに「ガス、晴れませんかねえ?」と尋ねると「うーん、晴れるとしても14時か15時頃ですかねえ」と。羅臼岳は午後晴れることが多いとのことで、テント泊なら綺麗な羅臼岳を望める確率が高いかもしれません。やっぱり知床連山の縦走かなあ・・・
岩清水まで下ると小屋が一緒だったおじちゃん2人組が。映像を取りながらゆっくり登っていて、立ち話をしていると・・・
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ちょっと、ちょっと、ちょっと、ちょっと!!
ガスが一瞬切れる。写真はまあ出遅れた瞬間ですが、ぱあーっと晴れて、知床連山とオホーツク海、そして青空がくっきり綺麗に見えました。しかし、ガスはまた容赦なく流れてくる。それでも、今までなかった太陽の温もりを感じ、ガスの奥に輪郭が見える。期待と失望を短時間の間に繰り返す羅臼岳。
ガスが切れるたびに上がる歓声に、いやもうこれ晴れるんじゃない?という期待が大きくなり、おじちゃんも「晴れ男だから!」とテンションが上がっている。
そんなわけで、登り返しました。下山してくる人たちに「あれ!?」と言われながら。とりあえず風の当たらない岩場で適当に待機して、晴れたらアタックすることに。
ワクワク、ドキドキ、ウキウキしながら再び岩場を登る。しかし、そんな淡い期待も虚しく羅臼岳のガスは濃くなっていくのでした。20分ほど待ちましたが、うーんダメか・・・と下山へ。せめて羅臼平からチラッとでも見たかったなあ。
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羅臼平より下はすっかり晴れていて、でも山頂はしっかりガスで。さよなら羅臼岳。またいつの日か。次は絶対晴れの日に!!
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あー、海が見える。見えるよお。
オホーツク海といえば、宗谷岬にあるフットパス「宗谷丘陵フットパス」が個人的にとてもおすすめ。"白い道"というホタテの貝殻の道を歩く区間があり、その先の真っ青なオホーツク海が白に映えてとても綺麗。ご興味ある方はぜひ↓
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朝はどんよりしていた樹林帯に光が入り、とても爽やか。ヒグマの気配は微塵もなく、熊鈴の音を消して鳥の声を聴きながら知床の森を楽しむ。日の当たる森を歩いていると、なんだか安心感に包まれてしまう。
弥三吉水でグビッと冷たい水を飲み、アリがウロチョロするオホーツク展望を過ぎる。思い浮かべていた羅臼岳はお預けだったけど、知床の山はとても美しかった。
山頂だけが山なのではない。山頂がすべてではない。一つのひとつの要素が集まって山であり、散らばっても山である。森が美しく、花が美しく、水が美味しくて、一瞬の光景に心が豊かになった。私の初羅臼岳は、そういう山だった。また新しいことを上書きしに来ればいいだけ。
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爽やかに木下小屋に下山すると、小屋のご主人とウサギが外に出ていました。「飲む?」と言ってコーラを差し出してくださって、普段コーラは飲みませんが、ご主人の優しさと登山後の一杯が最高に沁みる・・・◎
そんな温かいご主人が迎えてくださる木下小屋、とってもいい山小屋でした。夕食時の山談義もとても楽しくて。お隣には秘境の「ホテル地の涯」がありますが、個人的には木下小屋で一晩過ごしてほしいなあと。こういう素朴で素敵な小屋、好きですね。大切にしたいなあと思います。
国設知床野営場
木下小屋からウトロの街まで車に乗せていただき、道の駅やらセイコーマートに寄りつつ今日の宿泊地"国設知床野営場"へ。
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「シリエトク」はアイヌ語で"大地の先端"を意味します。たくさんのお土産はもちろん、知床の美味しいが詰まっている道の駅。
◾︎ レストラン:11時〜15時
◾︎ 携帯電話充電可能(30分¥200)
◾︎ コインロッカーあり
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エゾシカのカレーか?ソースカツ丼か?せっかくここまで来たなら鮭の親子丼か?と散々迷ったあげく、お腹と相談して"鮭バーガー"に落ち着きました。
この道の駅は鮭の水揚げ量が日本一の漁港がお隣にあるとのことで、やっぱり鮭食べないと〜とね。生ではないけど。
道の駅うとろ・シリエトク
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ユートピア知床(併設のレストラン)
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道の駅から野営場までは1.5km、標高差60mほどの登りです。羅臼岳登山口にあるホテル地の涯で日帰り入浴も可能ですが、公共交通機関民はこの坂でまた汗をかきます。野営場のすぐ近くに温泉があるので、そちらがおすすめ。
坂を登り、大きなリゾートホテルの前を横切る。途中には「海鮮料理 番屋」という食事処もありました。お昼と夜の営業でちょうど閉まっている時間でしたが、道の駅で食べ損ねた場合は良いかもしれません。
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国設知床野営場に到着。管理人さんがすごい優しい。フリーサイト1泊¥400でこのクオリティは安い。これでも値上がりしたのです。
受付は9:00〜18:00ですが、到着が遅くなる場合、電話で伝えておけば大丈夫なようです。翌朝、受付で「昨日の夜到着した〇〇です」と言ってお支払いしている人がいました。管理人さんは8:00頃には来ていましたが、18時以降到着・早朝出発の場合は難しいかな?
サイトは4箇所くらいあり、受付横が一番広いサイト。木陰があって涼しい。
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2人用と4人用のケビンもいくつかあります。2人用のケビンにはコンセントがあり(4人用はコンセントなし)、充電が必要な場合はケビンがいいですね。
バイオトイレは閉鎖中になっており(故障?)、その横に簡易トイレが2つ設置されていました。
ヒグマ対策によりゴミの管理は徹底されています。特に生ゴミは厳重。生ゴミは袋に入れて捨てるため、何かしらの袋が必要です。
モンベルのステラリッジテントを裏切って新調したダブルウォールテント(スリーブ式が本当に面倒になってしまった)。もう少しいろいろなシチュエーションで使ってから、またご紹介したいと思います。
サイトが広い割に、みなさんロープに沿ってかたまり気味。オートキャンプの人がほとんどなので荷物の関係かな〜と思っていましたが(実際たぶんそう)、徒歩の自分も端の方にすればよかったなと思ったことがひとつ。
小さいナメクジめっちゃいる・・・笑
真ん中の方は草がモシャモシャしていて虫たちの住処。ナメクジ以外にも、シャクトリムシとかイモムシがテントを這う這う・・・端の方は草丈が低く量も少ないので、たぶんそんなに這われない。面倒なので移動はしませんでしたが、うねうね系が嫌いな人は端の方がいいかなと。
キャンプ場のすぐ近くには、ウトロ温泉"夕陽台の湯"があります。こじんまりしていますが露天風呂もあり、なんといっても受付のおばちゃんとおじちゃんがいい感じ。寝巻き?というようなラフな格好で迎えてくれます。湯上がりのお客さんかと思いきや「はーい、いらっしゃーい」と言われて思わず笑み。帰りも団扇をパタパタしながら「ありがとね〜」と。好きだなあ・・・日本のこういうところ好きだなあ。
夕陽台の湯
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キャンプ場には"夕陽台"があり、夕陽の時間になると近隣ホテルの人たちもゾロゾロここへ。スペースが広くない&木があるため、譲り合いで写真を撮る。山でダイヤモンド富士を見る人たちみたいな塊になります。
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少し早めに行ってゴールデンロードを鑑賞し、ヤブ蚊に刺されながら海に落ちる太陽を見送る。よき・・・
明日はバスと電車で阿寒湖へ移動し、その翌日雌阿寒岳に登ります。
国設知床野営場
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