2023.8.5-8.8
歩き人たかちです。
縦走3日目。昨日は、剱沢キャンプ場を出発し剱沢雪渓をサクサクと。剱沢から仙人峠に登り、仙人池と池ノ平で裏剱の絶景を堪能しました。
今日は、池ノ平小屋から黒部の秘湯"阿曽原温泉"へ。今年は雪が少なく、仙人谷の雪渓はほとんどない状態。秋道を辿り、なかなかハードな雲切新道を抜けて待っている温泉は最高のひととき・・・さらにディープな剱の奥へ入ります。
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天気:曇り時々晴れ
気温:20〜25℃
風:南南東2〜3m/s
池ノ平小屋-仙人池-仙人温泉小屋-仙人湯-尾根頂上(1629mピーク)-雲切新道-仙人谷ダム-阿曽原温泉小屋
▲ コースタイム:6時間35分
▲ 歩行距離:11.7km
▲ 累積標高差:+380m
-1605m
コース概要
仙人谷の雪渓
2023年は雪が少なく、7月末の時点で雪渓がほとんどない状態でした(例年の秋の状態)。歩いた8月7日時点では、ほぼ100%秋道。一箇所、雪渓の下を2m前後潜る場所があるのと、仙人湯への渡渉手前を数歩歩くだけでした。
通常であれば、雪溪の状態を確認しながらの通行になり、状態によっては通行不可になることも。2年前に計画していたときは、出発の3〜4日前に通行止めになりました。
雪渓の状態は阿曽原温泉小屋のHPに情報が上がるため、それらで最新情報を。直前の状況を知りたい場合は、仙人池ヒュッテなどに直接問い合わせるとよいです。
曇切新道
2007年に開通し、仙人谷ダムから一気に標高を上げる"雲切新道"。仙人谷ダムの標高が880m、尾根のピークが1629mで、標高差750mほどひたすら急登の道のりです。登り4時間10分、下り2時間50分で、コースタイムに1時間以上の差があることからも急登具合を窺えます。
道は細く、足元はズルズル、ザラザラ、ガラガラと滑りやすさもバリエーション豊か。岩やら根っこやらにロープや鎖。人が多いメジャーな登山道の急登に比べると歩きづらさ満載で、登りも下りもしんどい、そんな道でした。休憩を取りやすい優しさのある場所も特になし。
この縦走1日目の早月尾根の樹林帯の急登よりも歩きづらいと感じました。トータルの標高差は全然違いますが"歩く人が少ない道ならでは"という感じです。
平ノ池の朝散歩
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夜明けの裏剱をテントからチラリ。美しい。
みなさんが出発した5時半過ぎ、一人"平ノ池"へお散歩。小屋から下り10分弱、上り10〜15分というところでしょうか。
朝露で足を濡らしながら池の畔へ。小屋から見ている分には小さめの池だと思っていましたが、近づくと剱岳が映るほどで割と大きめ。
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すっきり青空ではないけれど、風がなく水面はとても静か。細かいギザギザまで映りこんだチンネに惚れ込みました。
仙ノ池とはまた違う魅力と迫力。小屋から離れているため、人の声も物音も聴こえない。独り占めの裏剱。じっくりと存分に向き合いました。
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6時半頃戻り、小屋の方にご挨拶をして出発。池ノ平小屋、自分好みのとてもいい場所でした。どのルートから辿り着くにもいろいろ越えなければなりませんが、裏剱が恋しくなったらまた来たいですね。
仙人谷[ 池ノ平-仙人温泉小屋 ]
池ノ平小屋-仙人峠-仙人池-仙人温泉小屋:CT2時間15分
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仙人峠に向けて、下り基調で歩いてきたトラバースを登っていく。小さくなっていく池ノ平小屋がなんだか名残惜しい。
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仙人池ヒュッテに到着し、この姿も見納め。
今回は早月尾根から剱岳を踏みましたが、室堂から入る(室堂へ抜ける)場合、裏剱の縦走はピークを特に踏みません。2泊3日、あるいは3泊4日も北アルプスにいるのに、目立ったピークを踏まないのは珍しいかもしれない。ただただ剱岳の奥を感じる山歩き。渋くてよい。ピークがないことで、自分の"ここが好き"という場所をいつも以上に感じている気がします。
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テント場はありませんが、仙人池ヒュッテも泊まってみたい。仙人谷の方へ下っていきます。
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沢にぶつかり、沢を横目にちまちまとちっぽけな人間が歩く。剱沢雪渓は歩いている人がいましたが、ここはさらに静かな谷。途中に草刈り機が置かれていました。整備の方々に感謝。
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仙人谷の雪渓はほぼ残っておらず、端っこの方に申し訳程度に残るのみ。秋道で危険箇所もないためシンプルで安全ですが、アドベンチャー感はなくてちょっと残念。しかし、2年前は出発の直前で通行止めになり悔しい思いをしたので(しかも晴れ予報)、歩けていることがありがたい。
途中、池ノ平小屋でテント泊をしていた男性2人組にお会いしました。室堂から入り北陵からチンネを登るつもりでいろいろ道具を持ってきたけど、体力が続かず下山することにしたとのこと。阿曽原温泉小屋のテント場で「昔のようにはいかないね」と、少し寂しそうに話されていました。
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谷を下りて行った先、登山道上に残る雪渓発見。とはいえ、これだけ。今年は本当に雪が少なかったのですね。昨年の状況とはまるで違う。
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上の方にピンクテープがありましたが乗るのは危うく、潜るルートができているのでそちらへ。水がポタポタ滴る雪渓の下、2m前後の距離をスルリと潜り抜ける。一瞬で終わった仙人谷の雪渓なのでした。
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そこから先に雪渓はなく、蒸し暑い樹林帯を黙々と。
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傾斜が緩くなり、看板とベンチが出現。"仙人温泉小屋"に到着。2021年に雪崩で小屋が倒壊し、コロナ以降の休業が続いています。立ち入り禁止のロープの奥には残骸がまだ多く残っていました。奥から何人かの男性の声が聴こえ、作業しているようでした。また秘湯好きのファンがいそうな場所にあり、再開が楽しみですね(再開するのかな?)仙人温泉小屋に泊まることができれば、室堂から2泊3日で無理なく歩けそうですね。
コース上ほぼほぼないベンチがせっかくあるのでここで一休み。標高を下げているので、気温がじわじわ上がって体力を奪います。
急登[ 仙人温泉小屋-仙人谷ダム ]
仙人温泉小屋-仙人湯-尾根頂上-仙人ダム:CT3時間30分
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仙人温泉小屋から下ってすぐ渡渉。沢の手前に残る雪渓は5〜6歩で終わりました。
ロープが2本渡してあり、奥のロープには缶がぶら下がり"カランコロン橋?"と書かれている。増水時注意の沢ですが、一時的な雨ばかりでまとまった雨が全然降っていないため、今日は余裕のよっちゃん。
渡渉のあとは"尾根頂上"まで登り返します。朝は曇り気味のスタートでしたが太陽も負けておらず、今山を歩いている人間でさえ、少し雨降った方がいいんじゃない?と思う。両親との山行を含めて立山に1週間くらいいますが、本当に晴れ続きで。
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湯煙が上がる源泉の"仙人湯"
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お湯がたっぷりなのかと思ったら、浅めで底はドロっとした感じ。ボコッボコッと、とてつもなく熱そうな音を出して沸いている。源泉感満載です。蒸気で熱いので退散。
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仙人湯から少し行くと水場がありました。地図には載っていない(2016年版)ですが、湧き出しているようです。塩ビ缶もさしてあるし、冷たくて最高でした(自己責任)。顔をバシャバシャ洗って細胞を生き返らせ、グビグビ飲んで体内にも補給。日本の山々が作りだす天然水、夏はこれがないと。
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クールダウンしてもうひと頑張りすると1629mの"尾根頂上"に到着。ここから仙人谷ダムへ一気に急下降していきます。
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腐葉土でふかふかになっているところはホッと安心しがちですが、そこはブナの実トラップ。石車ならぬブナの実車。これで2回尻もちつきました。
早月尾根の方がまだ歩きやすい。メジャーな登山道をグシャっとしたのが、この雲切新道。「新道と名のつく道は大抵歩きづらい」といつか誰かに言われましたが、まさに、道があるだけありがたいという感じ。
あわよくば池ノ平小屋〜欅平まで一気に下山しようかな?とチラリと思っていましてが、やめて正解でした。たぶん文句垂れ流しで歩いていた。
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とはいえ、ブナ林に癒されます。
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標高が1000mほどになると、もう暑くて暑くて・・・ブナ林の九十九折りになり、ダムの音が大きくなり、仙人谷ダムも近づいてきました。
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"急いでいない"という心の余裕はやはり大事で、まだ急登が続くと思っていたところで終了しました。気持ちが急いでいると永遠を感じて怪我をしかねない。あ、終わった?という、そんな気分でした。
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水平移動の開けたところでは電波も入りました(docomo)。剱沢キャンプ場以来の電波に、天気予報やらLINEやらメールやら一気に確認。明日もお天気は続くようですが、なんか熱帯低気圧が発生している模様。
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沢を渡り、3連チャンで繋がっているハシゴを下ると仙人谷はすぐそこ。太陽に熱せられたハシゴ、あっつ。
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両親と黒部ダムを見てはじまった今回の立山登山。黒部ダムのスケールって本当にすごいよなあと、改めて感じます。ここから阿曽原温泉へは"旧日電歩道"を通ります。案内に従って施設の中へ。仙人谷ダムも電波良好(docomo)◎
秘湯[仙人谷ダム-阿曽原温泉小屋]
仙人谷ダム-阿曽原温泉小屋:CT50分
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迷路のようで楽しみにしていた旧日電歩道。入ってはいけない建物に侵入しているようなワクワクドキドキがあります。
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冷蔵庫のような涼しさ。誰もいないけど、いろいろな音がしている。千と千尋で千尋がハクを助けに行くシーンみたい。
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電車に注意の看板あり。関西電力の黒部専用鉄道が走るようです。
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トンネルは寒かったり、蒸気で暑かったり、外気が入って涼しくなったり。黒部はたくさんの魅力がありますが、この旧日電歩道もまた冒険感があって素敵です。誰にも会わないところがまたね。
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ダムの施設を抜け、宿舎前を通り阿曽原温泉への山道を再び歩きます。
水平歩道や下ノ廊下を歩く前には"高熱隧道"をぜひ。
阿曽原温泉小屋にワープしたい気分ですが、最後の頑張り。登って、水平移動して、下ります。
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雲切新道に比べれば〜なんて思っていましたが、ダムで気持ちが切れてしまったため、この登り返しが地味に辛かった。トンネルでせっかくクールダウンしたけど・・・
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トラバースになり、途中トンネルを潜る。これまでの道とは雰囲気が異なり"裏剱"の気分から"黒部"の気分になる。道幅が狭いところもあるため油断禁物。
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トラバースが終わり最後の下り。苔で滑りやすい。耳元で蚊がうるさい。標高が低いテント泊はいろいろ厄介なことも多い。
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蚊を払いながら青い屋根の阿曽原温泉小屋に到着。黒部の山小屋感を醸し出しています。
写真を撮っていると、スキンヘッドの小屋番さんがひょっこり顔を出して「お疲れ様!」と。どうやら1番乗りらしい。そういえば、池ノ平小屋からすれ違い0だった。「温泉何時に入る?」とご主人。いろんなパターンが用意されており、先に到着した人に合わせて男女の時間が決まります。
13時ちょっと前に到着しましたが、テントを張ったり片付けたりしたいので、14時にしてもらいました。温泉は男女1時間交代です。
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小屋のすぐ下がテント場で、水場とトイレもあります。トイレは水洗で和式。トイレットペーパーは一応置いてありましたが、無くなることもあると思うので持参すると安心です。
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14時になり露天風呂へ。下り5〜10分、登り10〜15分とのこと。普通に下ったので、普通に登ります。
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開放的な阿曽原温泉!
脱衣所はありませんが、奥の蒸気が出ているところを少し覗くと、片隅に簀が。作業用?雨の日用?
桶と石鹸も置いてありますが、石鹸は完全に垂れ流し。いいのかこれ?普通の石鹸だったので、一応使わず・・・
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貸し切りでザブーン!日本よき〜!
贅沢な湯量の源泉掛け流し。少し熱めなので、反対側から水が同時に足されています。1時間たっぷり使って温まりました。
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テント場に戻ると池ノ平小屋からの男性がちょうど到着し、他にテントが2張で今日は4張。14時前から雷がゴロゴロしていましたが、15時半過ぎには雨が降ってきて、今日もお決まりの天気。毎日飽きずにこの天気。
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どんな山域なのだろうとずっと気になっていた場所はとてもディープで、平日とはいえ、夏の北アルプスなのにこの静けさ。夏の北アルプスですれ違い0は初めてですね。でも、最近はそんなディープな山歩きを好んでいます。何から逃げているのだろうか。
最終日の明日は、待ちに待った"水平歩道"。欅平まで残り少ないようで、しっかり5時間以上。黒部の歴史に欠かせない山歩きです。
阿曽原温泉小屋
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