2022.9.29
歩き人たかちです(@takachi_aiina)
今年最後のアルプスは、笠ヶ岳から烏帽子小屋へ抜ける3泊4日の裏銀座縦走。
北アルプスの縦走路といえば「表銀座」。アクセスも良く、槍ヶ岳に向かうワクワク感を味わえる人気の縦走路。
しかし、個人的には「裏銀座」を推したい。特に、野口五郎岳〜烏帽子小屋の稜線はもう言葉にならず・・・「美しい」が凝縮されていました。
2日目:笠ヶ岳-双六岳-三俣山荘
3日目:三俣山荘-野口五郎岳-烏帽子小屋
4日目:烏帽子小屋-高瀬ダム
気温:朝15℃ / 笠ヶ岳8〜10℃
風:北北東 2m/s
新穂高温泉 - わさび平小屋(休憩で寄り道)- 笠新道入口 - 杓子平 - 笠新道分岐 - 笠ヶ岳山荘
▲ コースタイム:9時間
▲ 歩行距離:12km
▲ 累積標高差:+1950m / -270m
北アルプス「裏銀座」公共交通機関のアクセス
今回は「新穂高温泉」から入山し、「高瀬ダム」に下山しました。
◾︎ 毎日あるぺん号(夜行バス)
新宿(23:00)- 新穂高温泉(6:00頃)
【復路】
◾︎ タクシー相乗り
高瀬ダム(10:20)- 薬師の湯(11:00)
*3人乗車、1人¥2,500
*高瀬ダム〜七倉山荘はマイカー規制
◾︎ 徒歩
薬師の湯 - 信濃大町駅(約6km)
*路線バスあり
日程の都合で烏帽子小屋までになりましたが、2023年より「裏銀座登山バス」の運行が始まり(季節運行)、信濃大町駅〜七倉登山口まで無理なく移動できるようになりました。
「新穂高温泉」へのアクセス
東京の場合、まいたびの登山バス「毎日あるぺん号」から夜行バスが運行しています。夜行バスは毎日あるぺん号しかないので、予約はお早めに。
前泊する場合は、新宿から「新穂高温泉」への昼便のバスがあるので(「平湯温泉」乗り換え)、電車より安く移動できます。
電車の場合は高山駅から「濃飛バス」が出ていますが、こちらも「平湯温泉」で乗り換えです。
「高瀬ダム」へのアクセス
高瀬ダムの最寄り駅は「信濃大町駅」。バスはないので、タクシー利用になります。
七倉山荘〜高瀬ダムの区間はマイカー規制されているので、車の場合もその区間は徒歩かタクシー(4.5km)。
区間 | タクシー |
信濃大町ー高瀬ダム | ¥8,000〜¥9,000 |
信濃大町ー七倉山荘 |
¥7,000〜¥8,000 *宿泊(テント可)で利用 |
七倉山荘ー高瀬ダム | 特定タクシー(期間運行) ¥2,400(4人まで可能) |
相乗りできなかった場合
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高瀬ダムから相乗り者がいなかった場合、以下の方法で信濃大町駅まで戻ろうと考えていました。
タクシー:4.5km
↓
◾︎ 七倉山荘 ー 大町エネルギー博物館
徒歩:9.3km
↓
◾︎ バス停「エネ博前」ー 信濃大町駅
大町市民バス:7.1km
幸い、2人組の方がいらっしゃったので相乗りさせていただきました。お二人も、誰もいなかったら上記の方法を考えていたようです。約9kmの徒歩を含みますが、朝一の下山で時間があれば節約になります。
2023年より、信濃大町駅〜七倉登山口(七倉山荘)の登山バス「裏銀座登山バス」が運行開始(季節運行)。平日も運行しており、裏銀座へのアクセス問題が以前より容易になりました。
予約不要なので、天気を見てからの出発でも大丈夫。途中にある「大町温泉郷」にも停車するので、下山後のお風呂も問題なし。
北アルプス「笠新道」概要
「〇〇三大急登」には含まれていない笠新道ですが、日本屈指の急登として有名です。
▲ コースタイム:6時間20分(登山口〜笠新道分岐)
個人的な感想は「道は整備されて登りやすいけど、とにかく長い」。
「杓子平」までは樹林帯を淡々と。足元は大半が岩ですが、小さなステップで登れる箇所が多く、意外とリズミカルに登れました。
ジグザグのつづら折りなので、見上げるような急登ではありません。足を高めに上げる、手を使う箇所もありますが少なめ。
しかし、ただただ長い!!
1700m地点から標高の看板が設置されていますが、それ以外で目印になるものは特になく、GPSを確認するたびに「あんまり進んでないな・・・」と。
個人的に、笠新道の辛さは急登よりも"長いこと"でした。
そして、「杓子平」〜「笠新道分岐」までがまた長い。緩やかに杓子平を進んだあと、標高差300mのガレ場を登りますが、このガレ場も長く感じました。笠新道ですれ違う登山者の挨拶は大抵「長いね〜」でした。
北アルプス屈指の急登「笠新道」から笠ヶ岳を目指す
新穂高温泉 - 杓子平
新穂高温泉 - わさび平小屋(寄り道)- 笠新道入口 - 杓子平:CT5時間50分

夜行バスで新穂高温泉へ。上高地で半数ほどの人が降り、6時頃到着。ロープウェイの施設はまだ開いていないので、「ホテル穂高」でお手洗いをお借りしました。

ゲートを抜けて林道歩き。緩やかな登りが続き、夜行バス明けの身体に若干応えますが、急登前の良いウォーミングアップ。
1時間弱で「笠新道」の入口に着きましたが、その先の「わさび平小屋」に寄り道して休憩することに。

笠新道の登山口から10分ほどで到着

寄り道したのはこれのため。いつもトマトを食べますが、今日はバナナ。わさび平小屋は、みかんときゅうりがのったそうめんも美味しいのでおすすめ。

笠新道の入口に戻り、水場でたっぷり補給をして急登へ。私が汲むときはいつも十分な水量ですが、水が細い or 枯れていることもあるそうです。枯れている場合は、わさび平小屋で汲めます(無料)。

初っ端からぐいぐい登る
"急登"として度々紹介される笠新道。ずっと気になっていたので、笠ヶ岳は笠新道から、と決めていました。

見上げるような急登が待っているのかと思いきやそうではなく、変わり映えのない樹林帯をジグザグに、淡々と登る。
林道にはたくさんの人がいたのに、風と葉っぱが擦れる音しか聴こえない笠新道。9月末だけど、天気がいいと暑い。

標高1700mからから100mくらいの間隔で看板が出てきます。それ以外の目印は特にないけど。

ひたすら登る。時折、西穂高岳〜槍ヶ岳の稜線が綺麗に見えて、単調な急登の癒しになります。
休憩に良さそうな岩を発見するも先客かり。「杓子平」に出るまで良さげな休憩スペースは少なく、登山道脇に腰をかけながら。
大きな岩陰で休憩していた男性が「いや〜もう、長い長い」と。自分と同じく、笠ヶ岳に登るなら笠新道、と決めていたそう。



1900mあたりから頭上がちょこちょこ開けるように。心なしか、少し涼しくなったような?



景色が見えるようになるとテンションが上がる



杓子平が2450mなので、高度計を見ながら「あと250m」「あと100m」と喝を入れて登る。本当に、淡々とした道。


やーーーっと、杓子平に到着!

笠ヶ岳こんにちは〜!という気持ちでしたが、すでにガスの中でした。

樹林帯では色づき始めた葉やゴゼンタチバナの実が目につきましたが、まだまだ緑が優勢。しかし、山の斜面は渋い黄色。
今年は風の影響などで高山の葉がぐちゃぐちゃになっているところが多く、紅葉が微妙らしい。それでも、秋の色合いを見ると嬉しい。
停滞していた雲が動き出して太陽の温もりが遮られると、一気に寒くなる。いつの間にか、一枚羽織らないと休憩できない季節になったのか・・・なんだかんだ山の夏は短い。
「笠ヶ岳山荘」はまだまだ先。ここから先はガレ場を登り、稜線を目指します。
杓子平 - 笠新道分岐
杓子平 - 笠新道分岐:CT2時間

ガレ場までは、クールダウンのような緩やかな道。標高差300mのガレの斜面を登りますが、森林限界を超えると気分爽快。長いけど。

登りはじめは緩やか、そして、徐々に左のピーク方面へ。
ちまちま登っていると、下の方から「ウォーーーン!」というの叫び声が2度、3度と続きました。クマかな?と探すも見当たらない。結局何だったのか?
秋はクマの行動範囲が広くなるので出会い頭になりがち。クマも脂肪を蓄えるのに必死。私もクマとは何度か遭遇していますが、"クマの生態を知ること"が一番大事だな、と思いました。
\ クマの生態・体験談についてはこちら /

そろそろかな〜、を繰り返すもなかなか終わらないガレ場。樹林帯と違い、すべて見えているのもまた長い。

だいぶ上がってきた

チングルマの綿毛も終わり

ラストスパート?

まだ続いていた

やっと稜線に到着
笠ヶ岳にかかっていたガスはいつの間にか稜線を覆っていて、景色は明日にお預け・・・
笠新道分岐 - 笠ヶ岳山荘
笠新道分岐-笠ヶ岳山荘:CT1時間10分
うきうきの稜線歩きの予定が、息を上げながら登っているうちにあたりは真っ白。チラチラ見え隠れする紅葉の斜面に一喜一憂しながら、笠ヶ岳山荘へ。

少し下ると、双六小屋と新穂高の分岐に到着。小屋まではあと1時間ほど。

笠ヶ岳への道のりはやはり長い。晴れていたら、目の前に笠ヶ岳がどーんと鎮座しているのだが。

歩いてきた道を稜線から

笠ヶ岳がチラリと・・・山頂は見えず


ちょっとしたアップダウンをしながら


「ガンバ」
笠ヶ岳山荘はどこだ〜?と思っていたら、いきなりテント場に到着。
山荘が遠い!笠ヶ岳山荘のテント場

ガスで山荘は見え隠れ。噂通り、テント場から遠い。一番上の方に張ってもなかなかの距離か。

大キレットが綺麗に見えそうな、真ん中のエリアに設営。サイトは綺麗に整地されており、フラットな場所多め。風除けの石が積んであるところもあります。
設営後、受付をしに小屋へ。笠ヶ岳の水場は8月中に涸れてしまうことがほとんどで、涸れたあとは山荘で購入(1L200円)。

テント場から山荘までは、ガレ場を約10分。冷池山荘のテント場もなかなか離れていますが、それよりも疲れたような?雲ノ平みたいに、小屋から離れていても水とトイレがあるとらくです。


小屋の中が温かい・・・
トイレは山荘のトイレ。外から入れるようになっています。

モンベルのご当地Tシャツもあります

ガスが晴れる気配はなく、テントへ戻る。この時季の北アルプスは、太陽が出ていないとさすがに寒い。笠新道の汗が一気に冷える。
そのうち、ポツポツと雨粒がテントを叩く音。もともと今日は、一日中霧予報でした。明日は晴れてくれる・・・はず。

この日は7張
テントの中でぬくぬくしていると外が明るくなり、槍ヶ岳方面の稜線が姿を現しました。しかし、笠ヶ岳は相変わらずガスなので翌朝登ることに。

17時を過ぎると西の空が赤く染まり、夕日が見られそうな感じ。ガレ場を急ぎ足で上がり小屋へ。

歩いてきた稜線の斜面が赤く照らされる

17時半頃小屋に上がると、ちょうど沈むところでした。ガスを貫く太陽光。朝とはまた違う、強烈なオレンジが放たれる。同じオレンジでも、夕日はどこか哀愁を帯びている。

10月間近の2700mは一気に冷え込む
笠ヶ岳への道のりの長かったけど、ずっと頭の片隅にあった笠新道を歩けて大満足。明日は、山頂でご来光を見て、双六岳と三俣蓮華岳を経て三俣山荘まで。
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コメント
笠新道は崩壊のため通行不能の時期があり、付け替えた? 良く分かりませんが、こんなガラガラ道ではなかったかと?
杓子平はシナノキンバイの黄色とハクサンイチゲの白色に埋め尽くされた一面のお花畑で緑の桃源郷でした。幡隆平も行ってみたかったが道がなく無理かと。
40年近く前、新穂高〜ワサビ平〜鏡平、泊、ここは写真家でも知られた小池潜さんの小屋で、池越しに槍穂高を間近に望む展望地で小さいながら快適な小屋でした。翌日弓折岳の稜線から朝陽射しシルエットになった槍ヶ岳から光条が輝き、神々しいまでの姿が忘れられません。笠までの稜線漫歩は何だか不思議と夢の彼方に。笠の小屋はトイレの目の前で食事で、吐気を抑えながら我慢して食べたのが苦い記憶。新しい小屋とは大違いかと。でも孤峰とも言える笠のお助け小屋で重要な小屋です。夏で意外なほど混んでいました。人気の山ですね。笠新道は登りは大変そうでしたが、下りはスイスイだったかと。