スポンサーリンク

千曲川源流の山旅。秋と冬の奥秩父小屋泊縦走#3【瑞牆山】

関 東 • 甲 信 越

2022.11.7-11.10

歩き人たかちです。

奥秩父縦走3日目。昨日は、甲武信小屋から国師ヶ岳を経て大弛峠。そして、大きなシンボル五丈岩のある金峰山へ。家のような、居心地のいい金峰山小屋で楽しいひとときを過ごしました。

最終日の今日は、金峰山小屋から瑞牆山へ。巨岩がゴロゴロ転がる樹林帯で、岩と戯れながら登る瑞牆山。スリルと迫力のある展望は、一見の価値あり。

 DAY1:戦没画学生慰霊美術館「無言館」
 DAY2:毛木平-甲武信ヶ岳
 DAY3:甲武信ヶ岳-金峰山
★DAY4:金峰山-瑞牆山

       行程
ーーーーーーー
天気:晴れ ☀︎
気温:金峰山-1℃/瑞牆山7℃
風:西 4m/s

金峰山小屋-砂払いノ頭-大日岩-大日小屋-富士見平小屋-桃太郎岩-▲瑞牆山-桃太郎岩-富士見平小屋-瑞牆山荘

▲ コースタイム:6時間35分
▲ 歩行距離:8.5km
▲ 累積標高差:+589m
                      -1523m


瑞牆山荘〜韮崎駅のバス(韮崎瑞牆線)

4月上旬〜11月下旬頃までの運行。期間が比較的長めで、平日もしっかり運行しているのがありがたい。

路線バス

スポンサーリンク
スポンサーリンク

コース概要

金峰山〜瑞牆山荘
ーーーーーーーーーーー

金峰山と瑞牆山を繋ぐ縦走路は、樹林帯と岩場でくっきり分かれます。金峰山〜砂払ノ頭はハイマツと岩場。山梨側が絶壁になっている箇所もあるため、写真などで足元が疎かにならないように要注意。砂払ノ頭〜瑞牆山荘は樹林帯。特別急な箇所はなく、緩やかな傾斜を交えながら歩きます。縦走路として、全体的に歩きやすい道のりです。

瑞牆山
ーーーーーーー

富士見平小屋から往復3時間30分。天鳥川を渡り、徐々に岩場へ突入していきます。山頂までは樹林帯の岩場をひたすら登る。時折、ハシゴや鎖あり。滑りやすい箇所もあるため足元に注意。登りに登った先にある山頂からの景色は圧巻。巨岩、奇岩が自然の神秘を物語ります。

スポンサーリンク

縦走路[金峰山小屋-富士見平小屋]

金峰山小屋-砂払いノ頭-大日岩-大日小屋-富士見平小屋:CT2時間25分

朝日は山頂まで登らないと見えないため、5:00を過ぎてゆっくり起床。山頂に登るか、小屋からのトラバース道で行くか迷いましたが、金峰山小屋の居心地がいいのでトラバース道にしました。他のお2人は、日の出を見るため5:30頃出発。

金峰山小屋の朝食はお粥が名物。白いお粥にたくさんのお漬物が並ぶ写真が印象的でしたが、現在は中華粥になっているようですね。炊き込みご飯のこともあるとか。朝食も気になりましたが、今回は食べず。

冬季は6:00〜ですが、日の出が6:07のため「朝ごはんは6:30くらいでいいかな?」と話していました。宿泊者が多いときは難しいかもしれませんが、ゆったりしているときは配慮してくださいます。

6:00頃、パッキングを終えて1階へ下りると「あ、もう出るんだね」と、朝食準備中の吉木さん。ちょっと立ち話をして、6:20頃出発。小屋の空気に溶け込んで、のんびり楽しく過ごせました。次回は金峰山荘方面から、石楠花の時期にでもまた訪れたいですね。

昨日はアルプスの上、今日は八ヶ岳の上に。この色合いを見ると心が温まる。

 

 

金峰山小屋は北側の斜面なので、山頂からの合流地点まではカチコチのアイスバーン。今日は面倒くさがらずに装着。モンベルのチェーンスパイク。

 

山頂からの道と合流。

花期は元気に葉っぱを伸ばしている石楠花ですが、冬は葉を丸めてしょんぼり。しかしこれは、石楠花の越冬術。葉を丸めることで露出部分を少なくし、乾燥から守っているとのこと。春になり、雪が溶け始めると水を吸い上げて光合成を開始。また元気に葉をピーンと伸ばします。植物は逞しいなあ。

 

今日も世界が素晴らしい。そんな風に1日が始まるのは素敵ですね。

合流地点から先の岩場は雪がなくなったのでチェーンスパイクはザックの中へ。

均整のとれた美しい日本のシンボル。金峰山周辺からのシルエットが一番好きです。

金峰山から砂払ノ頭までは、このようなハイマツ帯の岩の道。砂払ノ頭からは樹林帯に入るため、展望を楽しみながら歩きます。

瑞牆山が近くなりました。大弛峠への道が日によって凍結しているため、瑞牆山荘側から金峰山を往復する人が多め。平日の割にはすれ違いが多かった印象。

「あれ、早いですね〜」「金峰山小屋に泊まっていたんです」という会話を繰り返す。

"砂払いノ頭"に到着。ここから樹林帯の道。

 

以前金峰山に登ったときは、大弛峠から入り瑞牆山荘へ抜けました。同じ時期に歩き、もう少し色のある樹林帯だった気がしますが記憶以上に針葉樹林。富士見平小屋周辺の広葉樹林との記憶が混ざっていたのかも。

"大日岩"に到着。前回スルーしたのでチラッと鑑賞。

のぺーっとした岩には鎖がついています。

大日小屋。廃墟状態ですが、奥のテント場は利用可能。富士見平小屋での受付になります。1日を通してあまり日が当たらなそうで、ちょっと不気味ですね。

下るのが面倒だったので中は見ませんでしたが、トイレの扉はないし、垂れ流しだし、なかなか悲惨な状態のようです。地図には水マークがあり、小屋脇に沢が流れているとのことですが、トイレが垂れ流しのため汲むのは控えた方がいいかなと・・・

徐々に森に光が入り、鬱蒼とした雰囲気から明るい針葉樹の森に。このあたりの森が一番好き。急な箇所も特になく、とても歩きやすい縦走路です。


針葉樹の森


"鷹見岩"への分岐。木々の間から見えました。地図上は破線ルート。

 

植生はガラリと変わり、カラマツ林に広葉樹林が混ざる。緑から橙へ色が変わりとても明るい。富士見平小屋はもうすぐです。

 

"富士見平小屋"に到着。小屋前に広がる晩秋のテント場。紅葉のピークや休日などは混雑しますが、今時期の平日は10張あるかないかくらい。みなさん好きなスペースに思い思いにテントを広げ、とても気持ちよさそう。

富士見平小屋はジビエ料理が有名。小屋の食事も美味しそうですが、売店メニューも豪華。鹿や猪のソーセージや鹿肉山椒ピザ、鹿肉うどんなどなど。

そして、ビーフカレーはなんと、清里にある「萌木の村 ROCK」のカレー!100%鹿肉のソーセージを乗せた、富士見平小屋オリジナルになっています。ROCKのカレーはとっても美味しいので、八ヶ岳帰りなどにおすすめ◎


萌木の村 ROCK

八ヶ岳 清里萌木の村ROCK カレー&クラフトビール
八ヶ岳で年間150,000食オーダーされる名物カレーと、世界一のクラフトビールなら、清里萌木の村ROCK


小屋の中にはコースターやポーチなどの革小物や鹿の角など、オリジナル商品が並びます。小屋限定のビールやバラジャムといった気になるお土産も。


富士見平小屋

富士見平小屋
富士見平小屋は1都3県にまたがる“秩父多摩甲斐国立公園”の中にあり瑞牆山、金峰山の分岐にあります。富士山の見事な眺望、美味しい湧水、満天の星、野生動物や沢山の野鳥たちに囲まれたランプの山小屋です。

瑞牆山〜金峰山周辺の案内図。さて、瑞牆山へ。

スポンサーリンク

巨岩の山[富士見平小屋-瑞牆山]

富士見平小屋-桃太郎岩-瑞牆山:CT2時間

小屋脇の坂を上がり、再び針葉樹の森へ。以前は5月に登り、瑞牆山荘〜富士見平小屋までの新緑がとても綺麗でした。瑞牆山自体は"岩"という記憶しかありません。GW合間の平日に訪れましたが、普通に混んでいました。

クライミングの聖地"小川山"の看板が後ろに申し訳なさそうにある。小川山でボルダリングからロープまで一通り教わりましたが、私にはあまり響きませんでした。登るよりも、到達したあとハーネスに身体を預けてぶらぶら下がるのが楽しかったという、どうしようもない感じ。たぶん、地に足をつけていたいのだと思う。

分岐から天鳥川までガレ場を下ります。下山時はこの登り返しを最後に頑張る。

天鳥川は涸れていました。ベンチのある休憩ポイントがあり、この先から傾斜が増して岩場が始まります。

左手の大きな岩が"桃太郎岩"。真ん中がぱっくり割れて、まさに桃。

 

 

登れば登るほど、手足を使うような岩登りに。ちょっと岩と戯れたいなあという気分のときには、アスレチックのような瑞牆山がちょうどいい。以前は小学校低学年くらいの子がはしゃいでいて、「ジャンプしないの!」と怒られていました。子どもにとっては、景色を見たり、樹林帯を淡々と歩くよりも大きな岩と格闘する方が面白いのでしょう。ある程度登れるようなら、親子登山に瑞牆山はいいのではないかと個人的に思っています。

山頂から見ると、ズドーンと突き出して存在感のある"大ヤスリ岩"。見上げても大迫力です。

深田久弥はこの岩に対し「まるで針葉樹の大森林から、ニョキニョキと岩が生えているような趣である」と記しています。ニョキニョキという表現が可愛いですが、山頂からみるとまさにニョキニョキ。

ちなみに、瑞牆山全体に関しては「瑞牆山のユニークな点は、その岩峰が樹林帯と混合しているところである。」と。樹林帯を歩いていて、こんな天を突くような巨岩が当然現れる山はあまりないですね。本当にユニークな山です。

その後も岩岩岩。ひたすら岩。記憶通りやっぱり岩。

山頂まで展望が一面開けるポイントはありませんが、木越しに見える山並みは山頂からの景色を期待させます。

 

"不動の滝"との分岐に到着。黒森コースという名で、みずがき山自然公園に繋がっています。公園からは、瑞牆山の眺めが素晴らしいとか。キャンプ場もあり、とても気持ち良さげなサイトです。

分岐から山頂までは10分ほど。最後の岩場を登れば・・・

 

瑞牆山に登頂◎

先ほど見上げた"大ヤスリ岩"。ニョキニョキしていますね。相変わらずかっこいい展望。

金峰山

 

富士山

 

南アルプス

 

八ヶ岳

金峰山から南アルプス、八ヶ岳までの大展望。金峰山までは富士山がシンボルのように目に入ったけど、ここでは南アルプスと八ヶ岳に目がいってしまう。眼下の山の斜面はくすんだオレンジと赤茶けた色合い。秋が終わります。


山頂からの展望


昨日のような風もなく、ぽかぽかと温かい山頂日和。何時間でもいられるなあ今日は・・・というところですが、あっという間に1時間が過ぎたので下山へ。

スポンサーリンク

富士見平の森[瑞牆山-瑞牆山荘]

富士見平小屋-瑞牆山荘:CT2時間10分

 

 

登ってきた岩場をサクサク下りていきます。山頂にはそれなりに人がいましたが、登山道自体は空いていて快適。

 

 

あっという間に桃太郎岩まで戻ってきて、天鳥川を渡り、ガレ場を登り返して富士見平小屋への樹林帯。

到着。バスの時間まで少し余裕があるので、小屋前のベンチで一休み。乾いた風が枯れ木の中を柔らかくて吹き抜ける。珈琲を淹れたい気持ち良さですが、ここで淹れたら動けなくなってばすを1本見送ることになるか。静かに風を浴びるに留めました。

奥秩父の縦走もあと少しで終わり。はじめて訪れたときすっかり虜になった奥秩父は、やっぱり今も好き。別々に訪れた3座を改めて繋げてみるというのもいいですね。

子守唄のような風のサワサワを聴いていると本当に寝てしまいそうなので、サッと立ち上がり下山へ。

 

富士見平小屋の水場である"富士見平湧水"。水は足りていましたが、ボトルの中身を冷たくて美味しい山水に。キンキンに冷たい!

瑞牆山荘〜富士見平小屋までの樹林帯が大好きです。広葉樹林の明るい森。ピークは過ぎていますが、とても綺麗。裸になりつつ木々を見上げるのがまたよかったり。

 

 

 

どうしようもなく気持ちがいい。富士見平小屋までの道だけでも毎年歩きたいほど美しい。次回こそ、富士見平でテント泊をしようと心に決めた。山には登らず、ただただこの森に浸ってジビエを味わいたい。


カサカサの森


バス待ちの時間がなくなるほど時間をかけて下りました。もう、本当に細胞レベルで身体が潤いました。

バス停の前には"瑞牆山荘"。カフェ「Montagne」がありますが、この日は営業していませんでした。窓にはライスバーガーやレアチーズケーキ、フロート類などの美味しそうな写真。チーズケーキが人気のようです。


瑞牆山荘

瑞牆山荘【みずがき山荘/Mizugakisansou】公式
瑞牆山・登山口正面、カフェ併設の山荘。秩父多摩甲斐国立公園の大自然中で登山者向け宿泊とドライブの皆様にカフェ&レストラン(Montagne)にて食事を楽しんでいただいております。山荘までは舗装道路なので気軽にご来店下さい。

瑞牆山荘から韮崎駅へ向かう途中には「増富の湯」があります。増富温泉は本谷川沿いにありますが、この"本谷川渓谷"がとっても美しい◎

紅葉が素敵ですが、新緑もとても良かった。瑞牆山荘から増富の湯までは7.7km。そこまで歩いてバスに乗ろうかとも考えましたが、結局バスに乗ってしまいました。しかし、窓の外に見える渓谷美がやはり美しかった・・・

無事韮崎駅に到着し、奥秩父2泊3日の山旅が終了。甲武信ヶ岳、金峰山、瑞牆山。やはり、このあたりの山域はとっても素敵。何度でも歩きたいと思う山々です。なるべく静かに歩きたいという方には晩秋がおすすめ。しかし、奥秩父の燃える紅葉は一見の価値あり。特に、西沢渓谷の紅葉は素晴らしいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

にほんブログ村 アウトドアブログ 登山へ
にほんブログ村

よろしければ、応援よろしくお願い致します。

コメント

  1. 40年ほど昔ですが、年末年始の休みに、電車で韮崎、バスで増富温泉、マイクロで瑞牆山荘、泊。料理の美味しい快適な山荘。金峰山から東へ大弛峠、小屋泊。無人小屋は結構な混雑。甲武信ヶ岳への長い縦走路は雪とか倒木とか情報がないため遠慮して梓山へ長い林道歩き。バスで小海線へ出て帰宅。瑞牆山荘がすっかり気に入って、以来、年末年始は南アルプス北部へ行く外は、瑞牆山荘に連泊して過ごすことが多くなりました。
    瑞牆山荘の他は、木暮理太郎のレリーフのある金山平の山荘しか近くに小屋はない時代でした。もちろん富士見平小屋、金峰山小屋も利用されていましたが。
    瑞牆山荘は、最初にここ小尾周先ケ原に小屋を建てた先代のあとを長男さんが継いだのですが、急逝され次男の現荘主、久さんが東京から戻られて現在に到っています。久さんもご高齢に近づきすっかり白髪に、あと数年で退くと聞いています。息子さんは山荘は継がないようで、金峰、瑞牆の重要な登山基地である山荘がなくなると寂しくなります。昔は今のような大きな駐車場などなく定期バスなどもなく、増富温泉から未舗装の林道を歩く登山者も多く、山は静かでした。
    年末年始、瑞牆山荘を根城に、信州峠を超えて南・北相木村に入り、御座山、天狗山、男山に登ったり、千曲川の源流から甲武信ヶ岳に登り十文字峠に回ってみたりしましたが、年末はどこでも他に登山者はなく、山は貸切状態でした。毛木平もまだ遥か昔の茫々たる原野の趣で、林道終点に適当に車を突っ込んで甲武信ヶ岳を周回、武州白岩近辺はやや難所が続き、通過に時間を要しました。二日間、甲武信小屋の番人以外は誰にも会わなかったせいか、十文字小屋の温かみに惹かれるものがありました。
    たかちさんの写真を見ると、とにかく登山道が荒れているのに心が痛みます。天鳥川から瑞牆山への登り、いきなり木の階段梯子はありましたが、終始、岩ではなく木の根を渡るような道で、年末年始に雪の中を登ると、決まって根と根の間に登山靴がはまり込んで抜けなくなり、仕方なく靴を脱いで抜け出す始末でした。山頂も貸切に近かったです。
    金峰山も大日岩下の露岩がテーブル状で、凍ると嫌らしかったですが、鎖などはなかったですね。金峰山も年末は他の登山者には会いませんでした。
    瑞牆山荘は大部屋のこともありましたが、宿泊者が多いと相部屋になることもあり、多連泊で暇なときは、同室になったご夫妻を何度か韮崎まで送ってあげたりしました。まあ今よりは随分とゆっくり時間が流れていたし、年末年始の寒い時期の登山者は本当に少なかったのだと思います。山荘を秋に訪れると、ご主人が秘密の場所から採ってきたキノコが夕食に出たりと、壁に掛けられた油画などなど、ご主人との会話の楽しみな、喫茶で飲むホットの美味しい、本当に居心地の良い山荘でした。

Copied title and URL