2022.11.7-11.10
歩き人たかちです。
奥秩父縦走2日目。昨日は、千曲川源流の約10km手前、バス停「梓山」から歩き出し甲武信ヶ岳へ。源流珈琲に皆既月食、昔ながらの甲武信小屋で1泊。
今日は国師ヶ岳を経て大弛峠、そして、金峰山へと向かいます。奥秩父の中でも気になっていた甲武信ヶ岳〜大弛峠への道、そして、念願の金峰山小屋。誰もいない晩秋の奥秩父。慎ましい日本の森歩きが続きます。
DAY1:戦没画学生慰霊美術館「無言館」
DAY2:毛木平-甲武信ヶ岳
★DAY3:甲武信ヶ岳-金峰山
DAY4:金峰山-瑞牆山
ーーーーーーー
天気:晴れ ☀︎
気温:甲武信ヶ岳-4℃/金峰山0℃
風:西北西5〜6m/s
甲武信小屋-▲甲武信ヶ岳-富士見-両門ノ頭-東梓-国師のタル-国師ヶ岳-前国師-大弛峠-朝日峠-朝日岳-▲金峰山-金峰山小屋
▲ コースタイム:9時間
▲ 歩行距離:14km
▲ 累積標高差:+1225m
-1166m
秩父の奥森[甲武信小屋-富士見]
甲武信小屋-甲武信ヶ岳-富士見:CT2時間5分
5時起床。台所の朝の音が静かに届く。甲武信小屋は"厨房"というよりも"台所"。みんなで料理をしている祖母の家のようで、そんな雰囲気にも懐かしさが込み上げて心地よい。
外は、濃紺のキャンバスに一筋のオレンジが突き抜ける。朝の色合いがより濃くなった気がして、冬がすぐそこまできていることを実感。すごーーーく寒い。
5:50出発。「今日は長いけど、お気をつけて!」と、小屋番のご夫婦に送り出してもらう。そろそろ朝だぞ〜と言わんばかりに、夜明けの空が明るくなりつつある。
昨日下ってきた道を山頂へ。薄暗い樹林帯の先に賑やかな声が聴こえました。山頂手前の岩場に、朝日を見るために5人待機。「あ、お姉さんちょうどいいですよ〜!あと2,3分で出ると思う!」と、お好み焼き屋さんのご夫婦。
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濃紺の空は淡いピンクに様変わり。朝の中で、一番好きな時間がやってきた。
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日の出の時刻になるも太陽は遅刻気味で、分厚い雲海からなかなか顔を出さず。
雲海の隙間が煌びやかなオレンジ色に染まり、待ってましたの大歓声。生き物は太陽が好きなのか、光るものが好きなのか。動く大きな宝石に、何度となく心が奪われる。
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太陽が上がったところで山頂へ。西の空には、442年ぶりの月が尾を引くように浮かんでいました。闇夜を煌々と照らしていた球体は、サーモンピンクに似合う大人しい卵色に。雪を被った北アルプスが一段と美しい。
朝の天体ショーはあっという間に終わり、秋晴れを感じさせる澄んだ水色が広がり始める。金峰山方面に縦走をするのは私だけ。別れを告げて、奥秩父のさらに奥へ。
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ガレ場を下り、千曲川源流との分岐をさらに奥へ。朝の光はまだ届かない、静まり返った針葉樹の森。植林の鬱蒼とした森には辟易してしまうけど、ここには八ヶ岳や南アルプスと同じ美しさがある。苔が生き物の気配を感じさせる。
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障害物競争のように、ところどころ倒木を跨ぎながら。以前、甲武信小屋に泊まったとき、「いや〜、倒木が大変でまいっちゃったよ〜」と、疲れきったおじさん2人組が17時頃やってきました。そんなに大変な道なのかと思って、でも歩いてみたくて。今のところ、厄介というほどではなく、ワイルドでいいじゃないかと遊び心がある程度。
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富士山の展望地に到着。奥秩父からの富士山は、近すぎず遠すぎず。距離感がとてもいい。
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アップダウンをしながら"富士見"に到着。富士見という割には展望のない樹林帯。昔は見えたのだろうか。それとも見たいという願望だろうか。
秋と冬の狭間[富士見-国師ヶ岳]
富士見-両門ノ頭-東梓-国師のタル-国師ヶ岳:CT3時間30分
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上っては下り、下っては上り。そんな尾根道をひたすら歩く。この時期だからこそ気持ちよく歩ける、ひたすら長く歩きたい人が好むような道。
アップダウンは一回一回が特に長いわけではないので、息が上がりすぎる前に下りになったり、フラットになったり。山の凸凹を純粋に楽しみながら。
ちょっとした岩場に出ると、富士山がまたまた。秋晴れは今週で終わりらしい。そして、人知れず冬晴れに変わっていく。
奥秩父からの富士山
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石楠花がところどころに。やっぱり石楠花の時期が気になるなあ。
奥秩父の森
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"東梓"はしれっと通り過ぎ、2,224mのピークへ。三角点がありました。
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苔は木漏れ日が大好き。ガンガン光が当たっても、全く当たらなくても生きていけない。落葉広葉樹林は地面が落ち葉で覆われてしまうため、光が適度に入る針葉樹林との相性がいい。自分も木漏れ日が好きだからなのか、こういう森がとても好き。
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"国師のタル"に到着。少し広めの森の空間で、休憩にはよさげ。
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この先、地図には「倒木多い」と記載がありますが、カットされた丸太がゴロゴロ転がっていました。どんな倒木道なのかと気合いを入れるも、歩きやすい道が続きます。
以前に比べて整備されたのかもしれません。時折倒木を跨ぎますが、国師のタルまでの道のりの方が倒木は多かった印象です。
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ちょっと拍子抜けしつつ、歩きやすさに感謝。国師ヶ岳に向けて、引き続きアップしてダウンしていきます。
歩く人がそこまで多い道ではないと思うので、お菓子とか紙類のゴミはほとんどありませんでしたが、気になったのは劣化したピンクテープの残骸。
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ハイカーのゴミはハイカーが拾う
ゴミ袋がピンクに染まっていく。自分もゴミを落としてしまっているかもしれないし、自然は美しいに限る。極力ゴミを拾いながら歩いていますが、このピンクテープもなかなか考えものだなと。
枝に結んであえて地面に置いてある道標もありますが、明らかな劣化の残骸は拾いました。でも、量がすごい。たまに赤い布であることもありますが、劣化を考えると布の方がまだマシなのか?自然に還る素材のピンクテープとかあったらいいですね。
景色は変わらず、シラビソと苔の森を中心に。フィトンチッドが爽やかな香りを森に放ち、頭から爪先まで落ち着く。幹に鼻をつけてくんくんしてしまう。"森の香り"と謳うどんな芳香剤も、本物に当然は勝てない。空気が美味しい。
森に誘われるように、吸い込まれるように、山と山の間を歩く。山頂はもちろん気持ちがいいけれど、私はこの"山と山の間"がすごく好き。ここだ!というお気に入りスポットを探しながら歩いて腰を下ろす。その方が静かに山と向き合える気がして、アルプスでも、山頂よりも道半ばでの休憩の方が年々長くなっています。
山は山頂だけではない。"繋がっている"ことに楽しさを感じながら。
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秋と冬が混ざる。どんな宝石よりも美しい。どんな宝石よりも価値がある。
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国師ヶ岳に近づくものの、最後の方は少し長く感じました。こまめに地図やGPSを見ながら、「あれ、まだここか・・・」の繰り返し。
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北側の斜面には雪が多めに残り、ほぼほぼアイスバーン。これが結構厄介でした。チェーンスパイクをつけようか迷いつつ、面倒でそのまま進む。
途中からは意地になって登っていましたが、くそーとか、ちくしょーとか文句を垂れるくらいなら装着すればいいじゃないかとも。1人で格闘していて愚かでした。
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西に90度方角を変えるとようやくアイスバーンから解放され、国師ヶ岳も目と鼻の先。今度こそ最後だ!と坂を上がり・・・
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国師ヶ岳に登頂!やっと!
今日の行程はまだ3分の2くらいですが、充実感がすごい。ちょっと長かったけど、晩秋のいいトレイルでした。
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夢中で歩いていたので、気がついたら空腹。ちょうどお昼の時間で、富士山を眺めながらエネルギーをしっかり補給。大弛峠へと向かいます。
神聖な五丈岩[国師ヶ岳-金峰山]
国師ヶ岳-前国師-大弛峠-朝日峠-朝日岳-金峰山:CT3時間10分
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国師ヶ岳から歩き出すと、すぐに"前国師岳"。
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こちらも展望のいい場所で、金峰山の五丈岩がひょっこりと見えました。ほとんど緑に覆われた山に、模型でもくっつけたかのような大きな岩の塊。不思議ですね。
奥秩父山塊の最高峰は"北奥千丈岳"。標高は2601m。途中に分岐がありましたが、今回はスルー。大弛峠から1時間ほどで登れるお気軽な最高峰。
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大弛峠への道は途中から木段になりました。そして、そのまま最後まで木段。リズミカルに下れるものの、登りだとちょっと単調ですね。
ところどころ、木道の出っ張りの間に積もった雪が凍っていてツルッツル。リズミカルに突っ込むと怪我をするので、慎重に。
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青い屋根がチラついて大弛小屋。小屋の入口には「準備中」の看板が掛かり、売店も今日は営業していませんでした。テント泊での縦走の場合は大弛小屋で。
大弛小屋
以前、大弛峠に来たときも気になった"夢の庭園"。展望のいいハイキングコースのようです。
夢の庭園に関して
ということで、大弛峠に到着。駐車場には10台ほど停まっていました。大弛峠への道路は、11月に入ると凍結や積雪状況により冬季閉鎖となります。今年はまだ閉鎖にはなっていませんでしたが、タクシーはすでにお断りと聞きました。
以前は塩山駅から栄和交通のバス(事前予約制)で大弛峠スタート。同じ11月上旬でしたが、そのときはまだ運行中。毎年、いつまで運行するかは道路状況によるので要確認。2021年は11月下旬頃まで運行していたようですが、今年は10月末で終了しました。結構差がありますね。
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休憩もそこそこに、金峰山へ。
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はじめにぐぐっと登って尾根に出ます。こんな道だったのか、出だしの景色は全く覚えていませんでした。
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枯れ木のトンネル
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このあたりだったかな。以前は霧氷がとても綺麗でした。大弛峠から金峰山までは霧氷の美しさと、五丈岩と、富士山がいい感じだったということしか覚えていません。
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朝日峠には裾を大きく広げたケルン。結構広い空間ですが、やはり覚えていない・・・記憶の風化は恐ろしい。
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朝日岳手前の岩場。ここはさすがに覚えていました。富士山が雲に浮かんでいる。富士山を眺めながら休憩するには、朝日岳の山頂よりもこちらの方がよさげ。適度な広さがあり、気持ちがいい。
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枯れ木をメルヘンだと思うのは私だけだろうか。枯れているのだけど、青と白のコントラストがどうもいい感じに思えてしまう。自然は枯れても美しいということで。
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朝日岳に到着◎
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山頂の先にある展望のベンチには、何も語らずご夫婦が静かに奥秩父を見つめていました。
喋らずとも、気負わず何時間も一緒に居られる関係は素敵だと思います。特に山は、お喋りに夢中になると見ているようで見ていないことだらけだったり。素敵な景色は誰かと共有したい。だけど、そこに至るまでの自然もしっかり受け止めたい。そんな気持ちがあるので、各々のペースで、各々の見たいものに集中しながら歩いているご夫婦やグループを見ると、いい関係だなあと。
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朝日岳から露岩の道を下り、再び登っていく。大弛峠と金峰山の標高差は300mほどですが、累積標高差は600m弱になります。
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国師ヶ岳までの樹林帯に岩を配置したような道をゆく。"鉄山"は北を巻くので山頂は通りません。
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雪の残る道をズンズン歩き、石楠花ロードを上がっていくと・・・
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徐々に標高を上げて"賽の河原"に到着。こんなに一気に開けるのに、やっぱりこんなのあったっけ?という思い。もしや寝てた?というくらい周りの景色を見ていなかったのかも。
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風の餌食になりながら巨岩地帯を進む。もう誰もいないかと思いきや、最後の下山者とすれ違いました。
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瑞牆山の巨岩がご立派。その奥には大好きな八ヶ岳。
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岩をくぐり抜けると・・・
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金峰山に登頂〜◎
山梨県側でら「きんぷさん」、長野県側では「きんぽうさん」と呼ばれています。ちなみに、金峰山小屋は長野県側なので「きんぽうさんこや」になります。
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見覚えのある素敵な富士山と巨大な花崗岩の五丈岩。高さは15mほどあります。気温は0℃、体感は-5℃近い中で1人大きな岩の前に佇みました。時刻はちょうど15時で、山は夜を迎える準備にさしかかっています。以前は賑やかな五丈岩でしたが、閑散とした空気に本来の岩を彷彿される。
五丈岩は古来より山岳信仰の対象とされ、とても神聖な存在。登ることは禁止されています。知らずにボルダリングのように登っている人もいて、はじめて来たときは「あの岩登れるんだ〜!」と私も思いました。しかし、近づくととてもじゃないけど登れる大きさではないことに驚きました。「岩に登ることは厳禁です」という案内板もあります。
金峰山は古くから"甲州御岳山"と呼ばれ、五丈岩を本宮としています。里には「金櫻神社」があり、この神社が五丈岩に登ることを禁じています。
私自身、日本の"アニミズム信仰"はとても素敵なものだと思います。自然は誰のものというわけでもありませんが、自然を敬う気持ちにはそのような精神が必要かと。
金峰山山頂より
今日も夕日が綺麗だと思うけど、またここまで登ってくる気力はないなあ。明日は小屋からのトラバース道で瑞牆山方面に進むため、夕方の金峰山を目に焼き付けました。
炬燵で団欒[金峰山-金峰山小屋]
金峰山-金峰山小屋:CT15分
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山頂から小屋は15分ほどなので、眼下に屋根が見えています。
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雪が残りアイスバーンとなっていますが、岩の先端が露出している箇所が多かったため、ここでもチェーンスパイクをつけずに下山。しかし、半分くらい進んだところで結局足の置き場はほぼアイスバーンに。小屋はすぐそこに見えている・・・また意地で下っていきました。ほとんどしゃがんだ状態でちまちまと。
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淡いグリーンの金峰山小屋に到着。小屋前には宿泊者の男性が1人。これから山頂を往復すると、チェーンスパイクを装着しているところでした。
ちなみにその方のチェーンスパイクはNORTEC「TRAIL 2.1」。チェーンではなくワイヤーを使用したトレラン向きの軽量アイゼン。通常のチェーンスパイクよりも歯が短いため使用環境は限られますが、この時期のアイスバーンにはとても有効だと。この日初使用とのことでしたが、氷への刺さり具合は抜群だったようです。
Moonlightgear
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お手洗いは小屋奥の建物。数年前に新しく建て替えられました。宿泊者以外は¥200。
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扉を開けるとお土産コーナー。欲しかった石楠花の手ぬぐいを手に入れました。かわいいオリジナルグッズが並びます。
さらに扉を開けて小屋の中へ。ソロの女性が1人いて、今日の宿泊者は3人。小屋番の吉木さんに「甲武信からの道、誰も歩いてなかったでしょう」と言われましたが、言葉通りソロでした。大弛峠に出るまで結局誰にも会わず。もともと歩く人が少ない道ですが、紅葉期が終わるとほとんどいなくなるようです。
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寝床は2階。番号で指定されます。スペースごとにカーテンが付いているので、ゲストハウスのように個室状態で使用できます。甲武信小屋とは異なりこちらは羽毛布団で軽々温かい。金峰山小屋はシーツ持参です。
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寝床を整えてまったりタイム。くつろぎスペースには豆炭のおこたが2つ。幸せですね。
宿泊者には、なんとフリードリンクのサービスまで!珈琲、紅茶、お茶、ココア・・・ポットも置かれ、自由に飲むことができます。せっかくなので、珈琲をやめてココアをいただきました。
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お土産コーナーにも置いてあるランプシェード。すごーくかわいいけど、家にランプがない。
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絶妙な光の入り加減がいい。明るいと暗いの中間の心地よさ。金峰山小屋もまた、奥秩父らしいですね。
アルプスでは結構大幅な値上げが行われていますが、奥秩父山域では少し値上げしたくらい。2食付でも1万円しない小屋がほとんどです。環境の違いはあれど、山域に合う方法で頑張っているとのこと。「奥秩父で13,000円とか取ったら誰も来ないでしょ?」と笑いながら話していましたが、どの小屋も必死であることは同じだよなあ。
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夕日でも見るかあ〜と外に出るも、すでな沈んでいました。ちょっと遅かった。しくった。風が寒くてギリギリまで小屋で待とうと思っていたら、見逃してしまいました。
しかし、余韻が素敵ですね。寒い寒いと小屋に戻ろうとすると、吉木さんも外に。「これからが綺麗なんじゃない」と言って写真を撮られていました。日没の余韻はすごく好きですが、どうやら吉木さんもお好きなようで。
今日の夕食は17時30分からですが、「3人だし、ちょっと早めに食べようか。お腹空いたでしょう?」と。炬燵スペースが食堂を兼ねていて、各自プレートを取りに行きます。
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ビーフカレー!美味しそう!
実は、金峰山小屋の"チキンステーキ"をずっと食べたかったのですが、11月からカレーになったとのこと。うぅ、それは知らなかった・・・。しかし、このカレーがめちゃくちゃ美味しかった!にんじんの和え物も、ポテトサラダもめちゃくちゃ美味しい!!レタスは麓の川上村のものを使用しているそうです。
金峰山小屋は「ごはんが美味しい」で有名ですが、本当に美味しいです。カレーは小屋ごとの美味しさがありますが、山小屋ですか?というような。吉木さんのこだわりがバンバン伝わってきます。ちなみに、カレーはおかわりできます。
3人なので、吉木さんを交えてお喋りしながら。他のお2人は金峰山に登りに来た方で、先ほどの男性は元パン屋さん。家族経営のお店を最近たたみ、ちょっと自由な時間を過ごしているという関西の方。
雲取山とか三条の湯にも何度か訪れていて、奥多摩や奥秩父の山域が好きだそう。関西の方に「奥多摩いいですよ〜」とか言われると、なんだか嬉しくなりますね。
20代後半の方だったので、話は吉木さんを中心に自然と人生相談へ。吉木さんは19歳(だったかな?)から山小屋で働いていて、甲武信小屋が初めて入った山小屋。そのため「甲武信小屋まじ寒いよね〜。今でも寒いもんね〜」と、笑っていました。その後、ご縁あって金峰山小屋の小屋番となり、奥秩父の山を見守られています。山小屋の事情とか面白いお客さんの話が尽きず、とても面白かった。
インターネットがあまり普及していない時代にJMTを歩いたお話は特に面白く。アメリカの安宿のPCで情報をなんとか集め、アメリカのハイカーに刺激を受けたロングトレイル。固形燃料の台を持って行ったけど、燃料が手に入らず結局空缶でアルコールストーブを作り、「何もなくたってどうにでもなるじゃん」と。ハイカーズデポの土屋さんともお知り合いで、1年に1回くらいなんとなくお店に行くとか。
たくさんお話を聞いた中での結論は「日本はいつでも歩けるから、とりあえず海外に行け!」ということ。パン屋さんの男性がアメリカのCDT(コンチネンタル・ディバイド・トレイル。5000km)を歩いてみたいということで、みんなで「今行ったほうがいい!」と終始背中を押していました。
20時くらいまでお喋りをして、私は先にお暇。混雑期とか休日は、小屋番さんを交えてここまでの交流をするのは難しいと思うので、晩秋はやはり狙い目。金峰山小屋に何度も訪れたくなる気持ちがよくわかりました。金峰山自体もとても好きなので、また時期を変えてお邪魔しよう。
縦走3日目の明日は、瑞牆山に登って下山。金峰山〜瑞牆山の間もどんな道だったか、断片的な記憶しかありませんが、すごくいいなあと感じたことだけは覚えています。
金峰山小屋
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